阿部巨人の今オフの補強で注目されるのが、中田翔の去就だ。
中田本人は「代打でという気持ちは全くないです。試合に出られるなら何でもやります」と、巨人との「決別宣言」とも取れるコメントをしていた。というのも、巨人では中田を追い出す形で、その外堀を着々と埋めている。
阿部慎之助新監督はテレビ番組で、来季決定しているレギュラーは「一塁・岡本和真、遊撃・門脇誠、三塁・坂本勇人」の3人としている。中田のことを師匠と慕う売り出し中の秋広優人に関しては「(レギュラーは)自分で勝ち取ってほしい」と突き放した形だ。この布陣が基本になれば、
「中田が来季巨人に残留しても定位置は基本、代打しかない」(巨人担当記者)
中田は2021年8月に日本ハムで暴行騒動を起こしたことで、当時の栗山英樹監督が巨人・原辰徳前監督に「直談判」したカタチで巨人への無償での移籍が実現した。
「これには巨人の山口寿一オーナーらフロント陣は疑問符をつけており、全権を持っていた原監督だったからこその移籍。その原監督はもう巨人にはいませんから、中田としてもこれ以上恩を返す必要はない」(前出・巨人担当記者)
また、巨人では来季の外国人の編成も始まっている。テレビ局のプロ野球担当ディレクターによると、
「巨人は来年、一塁と外野ができる右打者を、海外の渉外担当にリクエストしているというのです」
この「一塁と外野を守れる右打者」という補強ポイントは、中田が残留するなら必要のないリクエストと言える。
巨人は昨年オフ、前年から倍増となる年俸3億円の3年契約を中田と結んでいるが、1年ごとに中田の意思で契約を破棄できるオプトアウトが入っているという。その推定年俸からチーム内では「Bランク」とされる中田を他球団が中田を獲得するためには、旧年俸の60%の金銭(1.8億円)」か「40%の金銭(1.2億円)+人的補償」という最低条件がある。獲得を希望する球団がこれを飲めるか、どうかにかかってくる。もちろん巨人との交渉でいかようにでもなる部分はあるが、後見人の原前監督がいなくなった今、巨人が中田にどういう対応するかに注目が集まっている。
(小田龍司)