巨人が11月15日、中田翔内野手との複数年契約を解除すると正式に発表。自由契約となり、これで中田が巨人のユニフォームを着ることはなくなった。
中田は巨人と残り2年の契約を残していたが、本人が破棄を希望。年俸総額で言えば6億円(金額は推定)になり、日本球界では極めて異例の形だ。
「中田には本人が契約を破棄できるオプトアウトという権利があって、それを行使した形です」(巨人担当記者)
巨人の吉村禎章編成本部長は「チームとしては来年も残ってくれると思っていた」とコメント。しかし、仮に残留を決断したとしても、阿部慎之助監督は来季について「ファーストは岡本和真」と明言している。中田本人は一塁手として史上初となるセ・パ両リーグでゴールデン・グラブ賞を受賞している自負もある。
そんななか、「DHでも守備につくでも試合に出たいという気持ちが強い」と、巨人を出る気持ちが早々に固まっていた中田。人的補償も伴っていただけに、晴れて自由契約になった格好だ。
原辰徳前監督という「後ろ盾」を失った結果というわけだけが、実は両者のミゾは深かった。中田が日本ハムでチームメートに対する暴行騒動を起こし巨人に無償トレードでやって来た際、こんなことがあったという。巨人担当記者が明かす。
「口約束ですが、ウチ(巨人)は絶対に『飼い殺し』はしないという約束があったそうです。しかし、結局は体制が変わり事実上の『構想外』となった。今回、FA宣言するかしないかでは、球団側は中田にFA宣言用の事務的書類はしっかり準備するので連絡して欲しいと伝えてあったそうですが、なしのつぶてだった」(前出・巨人担当記者)
これは中田なりの巨人に対する「話が違う」という反発の態度だったのかもしれない。
そんな中田には、中日・立浪和義監督が早々にラブコールを送っている。中田本人は子供の転校がないほうがいいと在京球団を希望しているようだが、いずれにせよセ・リーグ球団への移籍となれば「遺恨マッチ」が実現する。
(小田龍司)