中国の経済政策を担当していた李克強前首相が10月27日未明、上海の病院で死亡していたことが国営メディアにより伝えられた。上海で休養中だったが、26日に容体が急変、突然の心臓発作に見舞われたという。
李氏は2012年に政治局常務委員に選出され、党総書記となった習近平氏に次ぐ党内序列第2位となり、13年から今年3月まで首相を務めた。退任時には習氏と握手こそ交わしたものの真顔で正面を向いたまま最後まで目を合わせることはなく、両者の関係が良好ではないことを窺わせた。
もともと身体が丈夫ではなく、腎臓・肝臓の疾患や糖尿病を患っていると報じられたことがあるが、68歳の若さで「突発性の心臓病にかかった」などと報じられ、何とも不可解だ。
現在、中国では習氏による「大粛正」が始まっていると言われる。7月にはテレビアナウンサーと不倫し米国で代理出産させたとして、外交の新星とも呼ばれた秦剛外相が突然解任。さらに女性問題や機密漏洩疑惑が報じられた李尚福国防相は、就任後わずか7ヵ月で解任されている。
政治ジャーナリストが語る。
「解任劇が続く中、中国国内では『次は李克強前首相』との声が広がっていました。現地のネット上では李氏の妻や娘の腐敗のウワサが拡散されていた状態で、失脚させられる可能性は充分にあった。そんな中での『心臓発作』ですからね。習氏による『粛正』がまた発動された可能性が指摘されてもおかしくはありません」
高官の不正を白日の下にさらすことで、国民の支持を集めようとするのは習氏のお馴染みの手と言える。「独裁」はますます進みそうだ。
(ケン高田)