10月下旬からわずか3週間足らずで、3人の副大臣・政務官の「辞任ドミノ」が発生した岸田政権。その影響で、内閣支持率は下がりっぱなしだ。閣僚・政務三役のスキャンダルはまだまだ続きそうな気配だが、当の岸田文雄総理自身は「俺の責任じゃないから」とアッサリしているという。神田憲次衆院議員を財務副大臣から更迭した際は「安倍派は俺の責任を問えないな」と漏らしたというエピソードが永田町を駆け巡っている。
岸田総理はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)出席のため、5日間の日程で11月16日から訪米中。「外交の岸田」で支持率回復を目指そうと、生き生きしている。全国紙政治部デスクが言う。
「9月に発足した第2次改造内閣は、各派閥の考えを最重要視した内閣です。岸田総理周辺では『身体検査は各派閥の仕事。野党はともかく、党内で問題にすれば信義違反だ』との声があります。だから外交に集中できるのでしょう」
副大臣・政務官の人事は、各派閥の代表として幹事長室に陣取る数名の副幹事長が、派閥の意向を調整しながら決める。総理は関与せず、官房長官、副長官と政務の秘書官らが連絡役となり、チェックする。今回はこの機能が働かず、そこに岸田政権の責任はあるが「それくらいは各派閥でやってくれ」というのが、岸田総理の言い分というわけだ。
日本維新の会を離党した鈴木宗男参院議員は11月14日、自身のブログでこう書いている。
〈内閣の一員が辞めるとよく「総理の任命責任」という言葉が出てくるが…副大臣、大臣政務官人事は…派閥からの推薦を受け、希望するポストを調整し、決定していくのが流れである。任命責任というなら推薦した派閥の長に責任があることになる〉
鈴木氏の意見は永田町の常識だが、各派閥は世論に迎合し、政権批判をする。岸田総理は文句のひとつも言いたいところだろう。
辞任した神田氏は安倍派で、もちろん安倍派が推薦した。神田氏を副大臣にした実質上の責任者、松野博一官房長官も安倍派で、ダブルチェックをスリ抜けた醜聞の責任はどこにあるかということだ。安倍派は100人を誇る自民党最大派閥だが、筋を通せば一連の辞任ドミノで岸田おろしには動けない。
「安倍派が動かなければ、総理の座から引きずり降ろされることもない。それが総理の精神安定剤になっているのでは」(前出・政治部デスク)
国民がまるで支持しなくとも全く問題はない、ということなのだろう。
(健田ミナミ)