JR山手線の1週間ののべ利用者数は約3200万人で、首都圏のJRの路線としては最も多い。それだけに駅の乗車人員も多く、新宿駅は60万2558人で1位、池袋駅が45万8791人で2位、東京駅が34万6658人で3位と、山手線が通る駅がベスト3を独占している。しかし、中には駅前が開発されておらず、とても山手線の駅とは思えない駅もある。田端駅がそうだ。
田端駅の乗車人員は3万7291人で、JR東日本エリアの駅のベスト100に入っていない。しかし、この数は決して少ないわけではない。北口には駅ビルがあり、ショッピングモールが入っている。駅チカにはマクドナルドやコメダ珈琲店、回転寿司店もあり、それなりに栄えている。小さいながらもロータリーがあり、人の行き来は少なくない。だが、南口は雰囲気が一変。まるで秘境駅のような寂しさだ。
「南口は無人で自動改札が入り口と出口が1つずつ、あわせて2つしかありません。駅舎も小さく(写真)とても山手線の駅とは思えない。駅前に店はまったくなく、20メートルほど歩いたところにセレモニーホールがあるだけ。改札を抜けたとたん、地方にワープしたのかと思ってしまうほどです」(鉄道ライター)
そんな田端駅南口は新海誠監督の映画「天気の子」に登場し、聖地巡礼するファンもいるようだが、残念ながら今後、開発されることはなさそうだという。
「周辺は住宅地で静かないいところです。住宅が密集しているので、駅前にビルを建てるのは難しい。今の雰囲気を残したまま続いていくでしょう」(前出・鉄道ライター)
東京の秘境駅を感じに、ぜひ1度訪れてほしい。
(海野久泰)