今年のサッカーJ1は、ヴィッセル神戸が創設29年目に初の優勝を果たした。
歓喜の輪の中心にいたのが、2004年に神戸市などが出資しながらJリーグで「不良債権化」していた神戸を獲得した楽天グループの三木谷浩史会長である。たどり着いたサッカー日本一に自身の「X」(旧ツイッター)で「続けてきて良かった。ありがとう」とのみ発信していた。
神戸の優勝で、三木谷会長は野球(楽天)サッカー(神戸)の日本の2つのプロスポーツを制覇したことになる。神戸の初優勝の原動力となったのは「三木谷補強」と言われる巨額投資だ。世界トップクラスの選手をかき集め、2018年にはスペイン代表のイニエスタを獲得。同年から今年までの6年間で、三木谷会長は神戸の強化になんと総額300億円以上の補強を敢行。これは世界のトップクラブと比べてもなんら遜色ない金額だ。
ただ、三木谷会長は優勝会見で「これを一過性のもので終わらせないように、今後も(楽天)グループ、ヴィッセル神戸全体で取り組んでいきたい」とコメントしたものの、そのハードルは高い。20億円の年俸を払っていたイニエスタこそ退団したが、4億円のFW大迫勇也、1.8億円DF酒井高徳の契約が今季で満了になるためだ。
「神戸のフロントは双方について契約更新を希望していますが、2人にしてみれば当然年俸が上がるとおもっていますし、それ以外の選手も当然、それなりのボーナスを期待していますからね」(神戸担当記者)
ちなみにJ1選手の平均年俸は3000万円台をキープしているが、どのクラブもコロナ禍からの経営難から完全復活はしておらず、大迫の4億円を筆頭に1億超えの高額年俸を払えるクラブはごくわずか。神戸は歓喜の優勝のウラで選手との「銭闘」が待ち受けている。
(小田龍司)