日本はもちろん世界中のサッカーファンを驚かせた、スペイン代表MFアンドレス・イニエスタのヴィッセル神戸移籍。Jリーグで史上断トツの32億円という年俸も話題となる中、超大物選手のイニエスタを口説き落とした楽天・三木谷浩史会長兼社長の手腕にも注目が集まっている。
そのヴィッセル神戸は現在、楽天の100%子会社だが、2014年までは三木谷氏の個人資産管理会社であるクリムゾングループが保有。いわば三木谷氏の個人商店だった。東京に本社を置く楽天が神戸にチームを保有しているのも、当の三木谷氏が神戸出身だからにほかならない。その三木谷氏だからこそ、イニエスタと友人になり、神戸移籍を説得できたというのである。海外スポーツ事情に詳しいスポーツライターが指摘する。
「三木谷氏のオーナーシップは日本離れした欧米スタイルなのです。日本のプロ球団はほとんどが大企業の広報部門的な存在なのに対して、欧米のプロ球団では地元を代表する資産家が強力なリーダーシップを取り、資金面でもバックアップしていることが多い。それは球団を持つことが大きな社会的ステータスとなるから。そんな球団オーナーには自家用機を所有する大富豪も少なくありません。三木谷氏は今回、イニエスタと一緒にプライベートジェット機で日本に戻りましたが、その機体はクリムゾングループが保有しており、実質的に三木谷氏の所有機です。それゆえイニエスタにしてみれば三木谷氏は欧米の富豪オーナーと同等の存在であり、故郷から遠く離れた日本でも安心して三木谷氏のチームに身を委ねることができるのでしょう」
三木谷氏の所有機は、ガルフストリーム社の「G650」で、プライベートジェット機としては最大級の機材だ。航続距離は7500海里(約1万3900km)にも及び、欧米から日本まで無着陸飛行できるのがメリット。世界を飛び回る三木谷氏ならではのチョイスと言えそうだが、その同型機をイニエスタを上回る世界トップ級の選手も保有しているという。
「世界最高のサッカー選手との呼び声も高い、レアル・マドリードのFWクリスティアーノ・ロナウドは、自分のイニシャルと背番号を組み合わせた『CR7』のロゴをプリントした『G650』を保有。自家用機を持つサッカー選手はほかにもいますが、40億円とも60億円とも言われる同機ほど高価な機材を保有しているのは彼一人だけです。最近はその愛機でしょっちゅうモロッコに住む友人の元を訪れており、地元マドリードで問題視されているという噂もあります」(前出・スポーツライター)
つまりイニエスタにしてみれば三木谷氏は、あのロナウドと同じ高級機を保有している富豪オーナーというわけか。二人がおたがいに「アミーゴ」(友人)と呼び合う仲なのも納得かもしれない。
(金田麻有)