このほど厚労省は、適切な飲酒量などを示した「飲酒ガイドライン案」をまとめた。これは飲酒量を「純アルコール量」で把握。純アルコール量は「飲む量(ミリリットル)×度数×0.8(比重)」で求めることができるとしている。
その上で、1日に摂取する純アルコール量が「男性で40グラム」「女性で20グラム」を超えると、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、高血圧、がん(胃がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、前立腺がん、乳がん、喫煙者における肺がん)など、致死的な生活習慣病の発症リスクが高まって、寿命を縮めることにつながるというのだ。
では、各種酒類の摂取量に換算した場合、1日あたりのリミット量は、具体的にどれほどになるのか。女性の上限「20グラム」で見ると、以下の通りとなる。
●度数5%のビールで500ミリリットルまで(ロング缶1本か中瓶1本まで)
●度数7%の酎ハイで300ミリリットルまで
●度数12%のワインで200ミリリットルまで(小さいグラスで2杯まで)
●度数15%の日本酒で1合弱まで
男性の場合はこの2倍量までがリミットとなるが、酒飲みにとっては非現実的に厳しい数字となっている。医療ジャーナリストも、次のように指摘する。
「医学的に正しい基準だとしても、それを実行できるかどうかは別問題です。実行不可能な基準は、基準としての意味がありません。今回のガイドライン案では、男女とも『1回の飲酒で60グラム以上の純アルコール量を摂取すると急性アルコール中毒に陥る可能性があるため避けるべき』とも書かれています。しかし、例えば日本酒3合弱で急性中毒に陥る酒飲みはあまりいないでしょう。どう活用していいのかわからない基準です」
男女を問わず、左党にとっては意味をなさないガイドラインといえよう。
(石森巌)