サッカー日本代表の歴史の中でもサポーターの心に焼き付いて離れないプレー、忘れられない一瞬がある。
2011年に行われたアジアカップの決勝、オーストラリア戦の延長後半で李忠成が挙げたゴールも、その1つだ。左サイドの長友佑都からのクロスを、左足のダイレクトボレーでオーストラリアのゴールに叩き込み、これが決勝点となって日本はアジアカップ優勝をつかんだ。
李忠成氏が鈴木啓太氏のYouTubeに出演し、伝説のゴールの瞬間を語った。
李氏は延長前半9分に途中出場。その時のことを、
「遅いよって。ポジティブですよ100%。出たらどうしようとか思わなかったですね。早く早くって、遅い遅いって。ザック、分かったからもう早く交代して1分でも俺に時間くれ。俺が決めてやるからって」
と振り返った。そしてクロスを受けた瞬間、ゴール前の李氏はフリーでトラップしてからシュートを打つこともできたが、
「トラップするつもりは全くなかったですね。たぶん、周りはしろと思っていたと思いますけど。(ボレーは)得意だったし、ベクトルが自分に向いていてもうやるぞっていう気持ち100%だったんで、入るイメージしかない。毎日練習していたから不安なこともなかった」
と、トラップは考えなかったという。
シュートの前後はボールがコマ送りのようにゆっくり飛んでくるのが見え、どのタイミングで蹴ればゴールに入るのかまでわかったとか。
「動画を見ればわかりますけど、打った瞬間に僕はもう後ろ向いています」
とボールの行方を見なくてもゴールが決まったことがわかったという。
日本中をハラハラさせた李忠成氏のボレーシュートが、本人だけは必ず入ると確信していたとは驚きだ。
(鈴木誠)