かつて笠置シヅ子が所属していたことで知られる、OSK日本歌劇団。放送中のNHK朝ドラ「ブギウギ」で、笠置はヒロイン福来スズ子のモデルとなっており、ドラマでもUSK(梅丸歌劇団)として描かれている。劇団所属の男役スター・翼和希が、ヒロインの先輩・橘アオイ役として出演。他の劇団員も、舞台を彩る劇団員役として顔を見せた。
そのOSK日本歌劇団が11月30日の「あさイチ」(NHK総合)に登場し、カメラが潜入したのだ。翼の案内で稽古風景などを紹介するもので、現在は49人の劇団員が在籍している。意外なのは稽古場がどこかのビルの一室という感じで、以前テレビで見た宝塚歌劇団の充実ぶりとは大違いだ。
「生命力の強さでどんなところでも咲く、どんなところでも生き抜くっていう強さだったり情熱っていうのが、まさに雑草魂と言われるOSKならではなんじゃないかなと思います」
そうOSKの魅力を力説する、男役トップスターの楊琳。
1922年に創立されたOSK(当時の名称は、松竹楽劇部)は、実は過去に何度も苦難を乗り越えている。最大の出来事は、2003年の劇団解散だ。当時の親会社が業績不振のため、支援を打ち切ったのが理由だったとか。
それでも劇団員たちは諦めず、存続の道を模索して「OSK存続の会」を結成。一度は市民劇団になりながらもなんとか再結成し、今日に至るというわけだ。
「舞台、公演があるのは当たり前ではないと常に思っていて、どんなことがあっても諦めないで舞台に立って、自分の表現をするっていうのを常に心がけております」
と話すのは、娘役トップスター・舞美りら。翼も言う。
「OSK魂というのは100年続いたコアなところにあると思うので、その先も生き続けてほしいから、それは自分も全て受け継いで、みんなにも伝えていきたいと思います」
コーナーの最後には翼からMCの博多大吉へ、熱いお礼メッセージが。
「大吉さんがOSKまた有名になってほしいね、と言ってくださった回、私はテレビの前で大号泣しました。本当に嬉しかったです。ありがとうございました」
闇深き宝塚歌劇団が激揺れする中、こうしてOSKにスポットが当たるというのも皮肉なものだが、これまで雑草魂で頑張ってきたご褒美かもしれない。年末の「NHK紅白歌合戦」にもぜひ出場して、ラインダンスで会場を盛り上げてほしい。
(堀江南)