11月28日、日本大学は競技スポーツ委員会を開き、違法薬物事件で揺れるアメリカンフットボール部について、部の存続を認めず「廃部」とすることを決定した。
学生日本一を決める甲子園ボウルで関東最多となる21回の優勝を飾り、1940年の創部以来、「不死鳥フェニックス」の愛称で親しまれてきた名門チームの消滅。アメフト部OBの間から「事件に関係のない選手らが気の毒だ」との声も上がる中、大学内では林真理子理事長に対する「疑念」が、燎原の火のように広がり始めている。大学本部に籍を置くある幹部も、2018年の悪質タックル問題に続く今回の薬物事件について、次のように疑問を口にするのだ。
「11月27日には部員から3人目となる逮捕者が出ており、廃部は避けられない事態だったと言えます。しかし、日本最大の学校法人を統べる林理事長は、理事会による報酬50%カット勧告こそ受け入れたものの、自らの進退についてはいっさい口に出そうとしない。アメフト部の廃部で逃げ切りを図るつもりなのか。いずれにせよ、これではトカゲの尻尾切りと言われても仕方がないだろう」
林理事長に報酬カットを勧告した第三者委員会は、返す刀で酒井健夫学長と沢田康広副学長の辞任を要求した。両氏はすでに辞任を受け入れているが、怒りの収まらない沢田氏が「最後っ屁」とばかりに、林理事長に対して1000万円の損害賠償を求める「パワハラ訴訟」を起こしたことは、本サイトが11月28日に配信した記事でも指摘した。
アメフト部の寮で大麻と思われる植物片を発見しながら、12日間も警察に通報せずにブツを保管していた沢田副学長はともかくとして、第三者会は林理事長と酒井学長に対しても「ガバナンス(組織統治)が機能していなかった」と断罪していたはずだ。にもかかわらず、なぜ林理事長はセーフで、酒井学長はアウトなのか。前出の幹部が言う。
「第三者委員会は、理事会の要請によって組織されたもの。そして理事会のトップは林理事長です。その理事長のもとで酒井学長と沢田副学長は辞任を勧告され、アメフト部は廃部に追い込まれたということです。結局、生き残りを図って成功したのは林理事長だけ。結果から見れば、林理事長の老獪な保身術にまんまとしてやられたということです。ハッキリ言って、日大の再生は難しいでしょう」
手に入れた権力は、やはり蜜の味なのか。直木賞作家よ、晩節を汚すことなかれ。
(石森巌)