前人未踏のアメリカンドリームの先に見据えるものとは‥‥。今季、ア・リーグMVPを満票受賞した大谷翔平(29)が、10年総額約1015億円の超大型契約をドジャースと締結。二刀流侍のメジャー第2章は打者専念での幕開けとなるが、心配はご無用。24年シーズンは重量打線の一翼として打ちに打ちまくるだろう。
「ここでプレーしたいという気持ちに素直に従った」
12月15日(日本時間、以下同)の入団会見で新天地を選んだ理由をそう語った大谷。だが、約1カ月にわたって米球界のストーブリーグを沸かせた〝大谷狂騒曲〟なぞどこ吹く風といった調子で、約33分間の歴史的な会見を終えた。が、いまひとつ心の内が具体的に明かされる場面はなく、
「勝つことを最優先させたのがわかります」
こうズバリ代弁するのが、野球評論家の大久保博元氏である。大リーガーが持つ「憧憬」について、
「チャンピオンリングが欲しいのでしょう。世界最高峰のプロリーグで頂点に立った証しであり、その栄誉は末代まで続くといいますからね。ただし、個人の頑張りだけでは限界がある。現役時代に複数のタイトルを獲得したイチロー(50)でさえも、チャンピオンリングを手にできていないのがいい例です。大谷が投打でMVP級の活躍をしても、ポストシーズンにすら届かないのがエンゼルスでした。対してドジャースは、11年連続でポストシーズンに進出中の強豪。同じロスで、住環境なども大きく変わらないだけにベストな選択だと思います」
23年シーズンは、ナ・リーグ西地区で2位に16ゲーム差をつけて独走優勝。その背景にはMVPコンビの存在が光っている。大リーグ評論家の友成那智氏が解説する。
「破壊力バツグンなのがベッツ(31)とフリーマン(34)の1、2番コンビ。3割以上のアベレージを残しながら、100打点以上を記録している。2人ともMVPプレーヤーで、打者として(の総合力)は大谷よりも格上です。その他にもスミス(28)やヘイワード(34)ら中軸から下位にかけて打線に切れ目がありません。ちなみに、ドジャースの906得点はメジャー全体でブレーブスに次ぐ2位。エンゼルスよりも160点以上多い数字です」
そんな重量打線に大谷が加われば「虎に翼」よろしくパワーアップは必至。最強の上位打線が組まれることは間違いなく、
「1番ベッツ、2番大谷、3番フリーマンの並びが濃厚。大谷の打席で塁が埋まっている状況も増えるため、キャリアハイの120打点はクリアできるはずです。一方、ホームラン数は減少する可能性がある。今年の5月にトミー・ジョン手術から復帰したフィリーズのハーパー(31)は、8月と9月に計16ホーマーの固め打ちでしたが、復帰直後の5~7月は計5本のみ。大谷も術後の腕がなじむまでに時間を要する可能性がある。それでも、敬遠される機会も減るはずで、35本塁打は打つと予想しています」(友成氏)
チームの得点力はさらに爆上がり。来季は打の一刀流でチームを2年連続の独走に導いてくれるだろう。