元日本代表の田中マルクス闘莉王氏が前園真聖氏のYouTubeチャンネルに出演し、W杯2006年ドイツ大会と10年南アフリカ大会の秘話を明かした。
闘莉王氏は04年に浦和レッズに移籍し、レギュラーとして活躍。ステージ優勝に貢献し、アテネ五輪にも出場するなど代表に呼ばれてもおかしくなかったが、ジーコ監督は一度も招集しなかった。それが今も悔しいと話した。
招集されなかったことを不満に思った闘莉王氏は、チームメイトで日本代表の三都主アレサンドロに理由を聞いてほしいとお願い。ジーコ監督の答えは、
「お前が問題を起こすのが怖い」
闘莉王は、
「そこかよ!大丈夫だって。真面目にやってるでしょ」
と思ったとか。
もし自分がドイツ大会に出場することができていたら、グループリーグを突破していたと闘莉王氏。
「オーストラリアとクロアチアには勝っていた。センターバックは足をつってるし、みんなプレーできなくなっていた。俺からしたら『お前ら何しに行ってるんだよ』って本当に思いました。ジーコさんは俺を呼んでもよかったな。ジーコさんに何かあった。聞けないですけど俺は」
04年、日本代表選手が合宿中に夜の接客店でトラブルを起こしたことがあり、ジーコ監督は事件を極端に恐れていたのかもしない。それが招集しなかった理由であると闘莉王は考えているようだ。
闘莉王氏は10年の南アフリカ大会に出場したが、決勝トーナメント1回戦でパラグアイにPK戦の末に敗退。闘莉王氏はPK戦で駒野友一氏が外したことが忘れられないという。
「駒ちゃんがPKを外すんじゃなくて、俺が外したほうがよかった。駒ちゃんはかわいそう。いじられても何も思わない俺のほうがいいのかなと。駒ちゃんは優しい人なんですよ。だから駒ちゃんだけは外してほしくなったですね」
闘莉王は5人目のキッカーを任されていたが、PKは得意ではなく代表でもクラブでもよく外していたという。そんな闘莉王氏が蹴ることになったいきさつは、
「延長戦が終わって選手がPK戦に備えていると岡田監督がやってきて『お前蹴るか?』と。興奮していたこともあって『はい』って言っちゃった」
岡田監督はなぜそんな闘莉王を選んだのか。後日、岡田監督に直接聞いたところ、
「お前が入りそうな雰囲気してた」
と答えが返ってきたとか。そんな岡田監督を闘莉王はやるなと思ったと当時を振り返った。
自身のサッカー人生でこのPK戦が唯一の心残りだという闘莉王氏。激しいプレースタイルで知られるが、今も駒野氏のことを気遣う優しい心を持っているとは驚きだ。
(鈴木誠)