音声メディアブームに沸く昨今だが、その裏でひっそりとオールドメディアである「AMラジオ」が消えつつある。
総務省の公式サイトによると、2月1日から13社34局の一部でAM放送が順次、取りやめになる。対象となる局はというと、IBC岩手放送、茨城放送、新潟放送、北陸放送、福井放送、東海ラジオ、山口放送、南海放送、RKB毎日放送、九州朝日放送、長崎放送、熊本放送、南日本放送だ。このうち北陸放送については元日に発生した能登半島地震の影響で時期が遅れるとし、さらにNHKラジオは対象外となっている。在京ラジオ局関係者が嘆く。
「今はスマートフォンで聴けるradikoやワイドFMの拡張を進める一方で、広告売り上げが激減し、維持費がかかるAMラジオ放送はどんどんやめていこうという流れになっています」
災害に強いラジオ放送は情報を知る貴重なメディアといえるが、
「そもそも深夜、早朝にスタッフを置かず、在京キー局の番組をネットしたり、録音番組さえ制作できずただただ音楽をひたすら流すフィラー番組も相当数、増えた。災害対応できるかも、微妙になってきました」(前出・在京ラジオ局関係者)
とりわけ深刻な状況に置かれているのが、東海ラジオだという。同局は中日ドラゴンズ戦の中継で知られるが、
「ベテランアナウンサーを営業セクションに異動させるなど、とにかく収入アップが喫緊の課題。人気パーソナリティーのリストラも進んでおり、今後の状況次第では、野球中継も打ち切りになりかねない、という噂まで出回っています」(放送関係者)
厳しい現実に直面するラジオ局に、明るい未来はあるのだろうか。