堺雅人、阿部寛、反町隆史、大泉洋、西島秀俊、佐々木蔵之介、ムロツヨシ、阿部サダヲ…。テレビや映画に引く手あまたのベテラン俳優たち。バイプレーヤーでは滝藤賢一、遠藤憲一、光石研といった面々が思い浮かぶが、そんな起用の波から外れた役者もいる。その内情はあまりに切実だった。
例えば、温水洋一だ。以前はオファーが引きも切らずに来ていたが、
「演技へのこだわりが強すぎて干された、という噂もありますが、真相はわかりません。現在はドラマの単発ゲストが多いですね。今や隔週土曜日の『タカトシ・温水の路線バスの旅』(フジテレビ系)で見るぐらいでしょうか」(テレビ番組制作スタッフ)
こうしたレギュラー番組があるならまだいいだろう。だが定期的に入る仕事がない俳優は、売り込みをするしかない。
「中村雅俊から売り込みが来ていると聞いた時は、驚きました。『なんであの大物が!?』と耳を疑いましたよ。もはや稼ぐ必要もないのでは、とすら思っていましたから。他には升毅から売り込みがあったことも覚えています。最近ではNHK連続テレビ小説『ブギウギ』にも出演する大ベテラン。しかもバラエティー番組に出たいというオファーでした。イメージを変えたいのか、本当にバラエティーが好きなのかはわかりませんが…。その売り込みの甲斐もあってか、ちょこちょこ出るようになりました」
こうした「大物からの売り込み」が増えている背景にあるのは、
「芸能界全般に言えることですが、オファーが一極集中してしまう傾向にあるようです。それはやはり、制作者側がコケたくないから。そこで直近のヒット作で露出した人ばかりを指名してしまい、対照的に少し影が薄い俳優はどうしても起用されなくなってしまう。最近はその差が極端になってきました」(放送作家)
業界全体が縮小し、チャレンジングな試みがされなくなっている由々しき事態。実力社会とはいえ、当人にとってはシビアな問題だ。
(魚住新司)