古代に生息していたとされる「メガロドン」は、獰猛な巨大ザメだ。2002年公開の映画「ディープ・ライジング コンクエスト」を皮切りに、2009年からはメガ・シャークシリーズの主役としても登場。2023年公開の「MEG ザ・モンスターズ2」でも、観客をパニックに陥れた。
体長は20メートルとも40メートルともいわれるド迫力。メガロドンに比べれば、「ジョーズ」で人食いザメの代名詞となったホホジロザメなどは「グッピー同然」とされる。
そんな巨大ザメの歯が国際研究チームにより、ハワイ島の南西約1390キロに位置するコーンウォリス島の水深3090メートルの深海で発見された。これは遠隔操作による水中無人機で撮影されている。
メガロドンは2000万年前から世界中の海に分布し、クジラをも捕食していたとされる、文字通りの化け物。ただ、360万年前にその姿が忽然と消えたという。古代の海洋生物に詳しいジャーナリストによれば、
「原因については、気候変動で海の環境が変わり、クジラが食べるエサが少なくなったことで頭数が減ったから、という説のほか、生態系の変化でメガロドンと競合するサメが現れ、エサの奪い合いになり絶滅したという説もあります。ニューヨークの自然史博物館に展示されているメガロドンの顎の複製は、これまで見つかった断片的な骨や歯化石に基づいたもの。今回見つかった歯の映像をもとに、新たな発見があるのかどうかに関心が集中しています」
昨年6月に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」が発表した論文によると、メガロドンは体の一部分だけ体温が高い「局所的内温動物」で、それが変温動物では入っていけない冷たい海への侵入を可能にしている。その結果、恒温動物であるクジラなどの獲物をいち早く捉えることができたのではないか、と推測しているが、
「とはいえ、現生のサメは基本、恒温動物でも変温動物でもない。ただ、ホホジロザメもアオザメも体の一部の体温が海水温よりも若干高く、もしメガロドンが似た体質であれば、この仮説は成り立ちます。ただし、局所的内温動物であるからこそ、獲物を大量に摂取しすぎてしまい、あまりにも巨大化したことで代謝機能が著しく低下。そして滅びたのではないか、という説も出ています」(前出・ジャーナリスト)
まだまだわからないことずくめの生態だが、今回の研究をまとめた論文は、純古生物学の国際誌「Historical Biology」に掲載されている。
(ジョン・ドゥ)