2023年いっぱいで引退したサッカー元日本代表GKの南雄太氏が、播戸竜二氏のYouTubeチャンネルに出演し、伝説となっている自身のオウンゴールを振り返った。まずは問題のオウンゴールについて、サッカー記者が解説する。
「南は世代別代表に選ばれ、2001年には日本代表にも選ばれました。試合に出場する機会には恵まれませんでしたが、所属する柏レイソルでは正GKとして長くゴールを守ってきました。そんな状態で迎えた2004年5月のサンフレッチェ広島戦で、前代未聞の事態が起きました。キャッチしたボールを味方に投げようとしてやめたものの、ボールが手から離れ、真後ろにあったゴールに投げ込んでしまったんです。このシーンは今もYouTubeで見ることができます」
なぜ、このようなことが起きたのか。南氏が解説する。
「右サイドでボールを取りました。右に中澤聡太がいたから、ボールを投げようとした。すると聡太が左サイドにいる近藤直也を指して『空いてる』って。近藤を見たら空いてたから、投げようとして振りかぶったら、奥から相手選手がダッシュしてきて『あ、ヤバイ。投げたらハマる(取られる)』と思った。投げるのをやめようとしたらボールが手から離れたから、戻さなきゃと思って…」
素早く手を引いたところ、ボールがゴールに向かって飛んでいったというのだ。
今でこそ笑いながら説明できるが、当時はかなりショックを受けたそうで、サッカーくじの「toto」が始まっていなくてよかったと、南氏は胸を撫で下ろす(実際は2001年からスタートしている)。
「totoをやってたら、私は(八百長で)100%事情聴取です。警報があるそうですが、鳴りまくりますよ」
なんともガッカリなプレーだったが、これには爆笑モノの後日談があるそうで、
「引退した時に中国のメディアから取材させてほしいと言われまして、なんで中国って思ったんですけど、面白いから受けることにした。すると中国の取材班から『南さんは今、三笘薫選手と同じぐらい中国で有名だ』と言われて。『えっ、なんでですか』って聞いたら『オウンゴールの時も中国で話題になったんですけど、2年ぐらい前に同じようなオウンゴールをしたキーパーが中国にいたんです。そのせいで南さんのオウンゴールが再びバズった』って。その映像を見たら、俺かと思うぐらい同じなの」
中国の取材班によると、国営放送で南氏の映像が100回以上放送されたため、中国のサッカー界で彼を知らない人はいないそうだ。
オウンゴール献上後、南氏はアウェーに行くたびに「おい南、いつ投げるんだ」と言われ続けたという。特に浦和レッズのサポーターには、数年にもわたってしつこく言われ続けたと明かした。南そっくりのゴールをしてしまった中国人GKはアウェーに行くと「南コール」が起きるのだとか。
どうやって立ち直ったのか、その選手に教えてあげてほしいというのが中国メディアの取材の主旨だった。南氏の答えは、
「時間が解決してくれる」
中国で三笘以上に有名になれたのなら、オウンゴールは間違いではなかったのかもしれない(笑)。
(鈴木誠)