JR東日本の株主は普段、電車に乗らない上級国民ばかりなのだろう。新生活シーズンを前に、JR仙台駅がこんなふざけた貼り紙を出した。
〈4月3日(水)-10日(水)(6-7日(土日)除く)の間、JR仙台駅2階の『みどりの窓口』は受付番号制にいたします〉
〈また当日の受付状況によっては窓口の営業終了時刻の19:00よりも前に受付を終了する場合もございます。あらかじめご了承ください〉
昨年12月10日公開の本サイト記事で、JR東日本は管内の「みどりの窓口」440カ所のうち、2025年までに7割も閉鎖すると書いた。首都圏で70駅、それ以外の北関東と東北、上北信越エリアでも70駅程度にまで大幅削減する予定だという。
そのせいで新生活、新入学シーズンには窓口に新規定期券購入者が殺到。「受付番号」を配らざるをえない異常事態になっている。
窓口を7割も減らした代わりにモバイルSuicaやネット予約、自動販売機が受け皿になっているわけでもない。
通学定期券や障害者、ひとり親世帯など、証明書の提示が必要な新規定期券や切符は従来通り、窓口での取り扱いのみとなっている。外国人観光客や高齢者など、販売機の操作が難しい乗客もいる。モバイルSuica定期券でも、アプリからの事前予約が必要になる。
こういうメンドクサイ仕様にしているのは「乗客の都合」ではない。全て「JR東日本様の都合」だ。
通学定期券は入学時に在学証明書を一度だけ提示すれば、卒業までは継続購入できるようにはなったとはいえ、東北を代表する政令指定都市の仙台市内ですら「みどりの窓口」は、貼り紙を出した仙台駅の2階と3階、新幹線乗り換え口2カ所、北仙台駅、長町駅にしかない(3月21日現在)。
政令指定都市の3駅にしか「みどりの窓口」がないから、入学シーズンに窓口業務がパンクする。しかも繁忙期を考慮して営業時間を延長するどころか、営業時間前に受付終了すると公言しているのだから、殿様商売にもほどがあるだろう。
3月16日に敦賀まで延伸したJR西日本エリアの北陸新幹線についても、SNSには毎日のように「JR金沢駅みどりの窓口1時間待ち」の阿鼻叫喚がある。被災地を応援しようと金沢入りしても、JR東日本と西日本それぞれが「みどりの窓口」を減らした結果、金沢駅の窓口に乗客が殺到する事態になっているのだ。ちなみにJR西日本は2030年までに、同社営業区間内のみどりの窓口を、現状の180駅から30駅にまで激減させる予定だ。
窓口が大混乱するのは、紙の証明書を窓口職員が確認するというアナログ性を残しながら、無理に合理化を進めるせいだ。それなら4月と盆暮正月には主要駅に「臨時みどりの窓口」の増設ぐらいはしてほしい。
(那須優子)