米ニューヨーク・タイムズ紙が「宇宙での孤独に終止符を」と題し、宇宙人からの電波メッセージ受信を試みる物理学者らの挑戦を記事に掲載したのは、1977年のことだ。それから47年。あまたの科学者らが、宇宙望遠鏡を用い、数多くの太陽系惑星を発見しながらも、いまだ「地球外生命体」の存在を裏付ける決定的根拠は見つかっていない。 だが、銀河系は多種多様な惑星で満ちており、太陽系外にある多くの衛星に地下水の存在が科学的に確認されているのもまた、事実である。
2022年9月、物理学や統計学、電子工学などの論文が公開されているメディア「arXiv」に「太陽系には400京というとてつもない数の異星人の船が隠れているかもしれない」との論文を発表し、世界の科学者たちを驚かせた、著名な天文学者がいる。異星人研究で知られる、ハーバード大学のアヴィ・ローブ教授だ。
ローブ教授は観測史上初となる恒星間天体「オウムアムア」が2017年に発見された際、地球外生命体の宇宙船かもしれない、とする主張を繰り返した。
ローブ教授によれば、天の川や太陽系には、オウムアムアのような天体が数多く存在し、天の川にはなんと400京個もの宇宙船候補が存在するという。とはいえ、それら全てが宇宙船で、地球外生命体がそれ使って行き来していると主張しているわけではない。科学ジャーナリストが解説する。
「宇宙にある恒星間天体の数を計算すると、天の川銀河内にある恒星間天体だけで400京個。それが全て地球外生命体の乗り物だった場合は、その数だけ存在するということです。過去10年で人類が検出した恒星間天体は『オウムアムア』『ボリソフ彗星』『CNEOS 2014-01-08』『CNEOS 2017-03-09』の4つ。地球外生命体が大勢の乗組員を運ぶためには、それなりの大きさが必要になります。であれば、オウムアムア級のものは、恒星間天体100万個に1つ程度だろう、というのがローブ教授の見解です。ただ、太陽系のどこかには、我々が想像もできないほど多くのオウムアムアが潜んでいる可能性があることから、一部の宇宙学者らからは、画期的な仮説だとして称賛の声が沸き起こりました」
ローブ教授は2014年1月に地球大気に突入した隕石「IM1」追跡調査のため、大学内に「ガリレオ・プロジェクト」を設立。暗号資産(仮想通貨)「イーサリアム」及び「カルダノ」創設メンバーからの資金提供を受け、太平洋での小球標本採取に成功した。海底から回収したミリメートル大の球体は、彼方の恒星が崩壊したものか、あるいは地球外生命体により設計された乗り物の一部である可能性があるという。
「エイリアン・ハンター」の異名を持つローブ教授のあくなき調査研究は、まだまだ続く。
(ジョン・ドゥ)