一般成人の約3~4割が悩まされているのが「不眠症」だ。「眠れないだけ」と不眠をやり過ごしていると、生活習慣病をはじめとする、他の病気のリスクが上昇する危険があるため注意が必要だ。
「不眠症」は、夜なかなか寝つけない、眠りが浅く何度も目が覚めるなどの睡眠問題があり、集中力や意欲の低下など日常生活に何らかの支障が出てしまう状態を指す。
症状が3カ月以上続く場合は「慢性不眠症」、3カ月未満の場合は「短期不眠症」と診断される。
近年の研究では「不眠症」と糖尿病や高血圧などの「生活習慣病」との関係性が、解明されてきている。
研究の中には、不眠の影響で高血圧になる可能性は2倍、糖尿病になる可能性は2〜3倍ほどに跳ね上がるという指摘をしているものもある。これ以外にも、「睡眠時無呼吸症候群」などの病気が隠れている可能性もある。
対策は「無理に寝ようとしないこと」がポイント。寝床に就くのは眠くなってからでいい。なかなか寝つけない場合は、いったん寝床を離れてしまうのがオススメだ。寝ないといけないと思い詰めることで、より覚醒してしまう可能性があるからだ。
「睡眠にメリハリをつけること」も有効である。日中、仕事の合間などに昼寝をしてしまう人もいるかもしれないが、本来の就寝時間に深い眠りに就けなくなってしまうおそれがある。
眠い場合は、30分以内で仮眠を済ませるといいだろう。
「不眠症状」は、加齢と共に発症し、健康な高齢者でも睡眠が浅くなるケースは多く存在するという。日中も日常生活に支障がなければ心配はいらないだろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。