空前のシブコフィーバーから5年、渋野日向子(25)が不振に喘いでいる。米女子ツアーに参戦して3年目、いまだ1勝も飾れず、今年3月から4戦連続で予選落ちの屈辱を味わった。迷えるシブコが不調のトンネルから抜け出す日は来るか。
「風がかなり難しかった。途中まで耐えていたとは思うし、何とかできたと思う部分も多かった」
4月4日、「Tモバイル・マッチプレー」2日目でスコアを落とし、予選落ちが決まった渋野は悔しそうに肩を落とした。
ゴルフ担当記者が語る。
「昨シーズン、ポイントランキングで83位だった渋野は今季のシード権を逃し、出場可能な試合が限られてくる。体力を温存できるという見方もできますが、一戦一戦の重みが違ってくる。予選落ちが次戦へのプレッシャーにならなければいいのですが‥‥」
国内ツアー参戦中だった21年10月の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」以来、優勝から遠ざかっている渋野。低迷の要因について、ユーチューブチャンネル「ゴルフエバンジェリスト100切りリョウさん」を運営するゴルフ解説者のリョウ氏が語る。
「19年に全英女子オープンで優勝した当時を引き合いに出して『なぜスイングを変えた』『元に戻せ』などと心ない批判を耳にしますが、そう簡単な話ではありません。渋野選手はアメリカ女子ツアー参戦にあたって、強豪選手と互角に渡り合うために、腕を低い位置から振り下ろすフラットなスイングに改良したのですが、これが傾斜の強いアメリカのコースにマッチしなかったのがひとつの大きな要因と言えます」
起伏が激しいコースに対応するためか、アマチュア時代から師事していた青木翔コーチと再タッグを組んだこともあったが、
「『さあ、これから』というタイミングで、ケガに泣かされる不運もありました」(前出・リョウ氏)
今季は上田桃子や吉田優利を指導している辻村明志コーチのもとで「完全復活」を目論む。
「スイングもよくなって、難解なコースにも対応を見せている。後はメンタルでしょう。先日、ラウンドレポーターが『渋野は練習ではすごくいい球を打っている』と絶賛していましたし、結果がついてくれば、自信を持って自分のプレーができるはず」
こう言って期待をかけるリョウ氏が、最後にこんなエピソードを披露する。
「私が観戦した昨年11月のTOTOジャパンクラシックでは、40位に終わったものの、優勝争いの組よりも多くのギャラリーを引き連れていた印象。ホールアウトした後はサインを求める大行列ができて、2時間以上かけて、すべてのファンに対応していました。マネージャーが後ろから服を引っ張って打ち切るように促しても、頑として譲らない。あそこまでファンを大切にし、また、ファンに愛される選手は他にいないかもしれません」
次戦は4月18日に開幕する「シェブロン選手権」。テキサスで勝利のシブコスマイルを見せてほしい。