お尻から足の裏側にかけて痛みやしびれを感じる––。それは「坐骨神経痛」かもしれない。
脳や脊髄などの中枢神経から、枝のように全身に伸びている「末梢神経」。その中でも最も太く、長い神経である「坐骨神経」が、何らかの原因で圧迫を受けたり炎症を起こしたりすると、強い痛みやしびれを発症するのだ。
痛みは人それぞれだが、腰を動かすと強まり、安静にしていても痛みが続くということも多い。
重症になると、足やお尻の痛みにより、長く立っていることはもちろん、座っていることも困難になり、夜も痛みで眠れない場合もある。
予防のポイントは、長時間座ることを避けて、腰に負担のかからない姿勢を心がけることだ。長時間の着席により、腰の筋肉のコリが強くなり一層、坐骨神経を圧迫してしまうためだ。
一般的に、立った状態で軽くお辞儀をするだけでも、腰にかかる負担は3倍になるとも言われている。腰にかかる負担は、想像よりはるかに大きいものなのだ。
他にも、仕事でデスクワークをする際には、30分に一度立ち上がるだけでも、腰の筋肉のコリを防ぐのには効果的。
買い物の際には、重い荷物を持つ時は両手で持つように心がけ、台所作業などをする時には片足を低めの台の上に乗せるなどの工夫も有効である。
「坐骨神経痛」の主な原因は、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症と言われている。
症状によっては手術を考えなければならない場合もあるが、治療のタイミングや方針についての自己判断は難しいため、早めに整形外科を受診しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。