8年間でリーグV4回、日本一1回の実績を残して11年限りで中日監督を退任した「オレ流」が、GMとして電撃復帰を果たした。就任騒動最中の講演会に潜入すると、谷繁新監督誕生を決定づけた、オーナーとの「電話会談」の全容を暴露。かつての参謀も登場させ、コーチ就任「公開オファー」のパフォーマンスもやってみせたのである。
このものものしさはいったいどうしたというのか。愛知県・一宮市民会館で10月14日に開催された「落合博満講演会」の一幕だ。午後3時開始のはずが25分も遅れた原因は、会場に集まった聴衆への徹底した「警戒」と「検査」だった。手荷物を全てビニール袋に入れて係員に預けることが義務づけられ、その手続きのためにできる長蛇の列。アナウンスされた理由は「安全上の問題で」だった。
ようやく中に入ると、防弾チョッキを着用した警察官が3人、ジロリとこちらを監視している。さらに最終関門として、金属探知機による全身チェックが‥‥。政府要人が来るわけでもあるまいに、一野球人の講演会で、これは異常な事態としか言いようがない光景なのである。
折しも中日前監督の落合博満氏(59)は球団初のGMに、そして谷繁元信(42)が選手兼任監督に就任することが10月9日に発表されたばかり。
「警官配備や手荷物没収などの措置は、反落合派のファン、(ポスト高木の有力候補として取りざたされた)立浪和義氏に監督になってほしかった人物などから『危害を加えるぞ』という趣旨の襲撃予告電話があったから。爆発物、危険物を排除するためです」(会場関係者)
イベント会社による落合氏の鉄壁ガードも敷かれ、「ダミー」まで使う厳重警戒ぶり。講演終了後、裏口から出られるように車も横付けしておきつつ、実は別の出口から出たりと──。
「お待たせしました」の第一声でスタートした講演会は、まず恒例のマスコミ批判から口火を切った。
「今回のこの‥‥(GM就任までの)流れについて、私の知らないことがいっぱいマスコミに出ています。まだ誰もコーチを決めてません。そりゃそうですよ。そんな時間ありません。先に『谷繁新監督、落合GM』って新聞に出て、オレまだ何も聞いてないんだけど、って。それで、(自分の)知らないところで佐々木球団社長が会見したんでしょ。で、じゃあオレはどうやって動きゃいいんだろうなぁと思ったら『ちょっと出てきてくれないか』と(球団サイドが)言うから『あ、いいですよ』というのが流れなんです」
この間の過熱先行報道にみずからが関与していないことをアピールすべく、まず苦言を呈すると、聴衆が興味津々の内部事情にはやばやとシフトしていった。
「白井(文吾)オーナーから、いつでしたかね。9月だと思うんですけども、1本電話が入りましてね。『相談がある。お前の意見を聞きたいから』と。『何ですか』『実は谷繁を監督にしたいんだけど、どう思う?』という電話でして」
◆10/22発売(10/31号)より