ファンが次に渡米を期待するのがロッテ・佐々木朗希(22)なのは間違いないところ。すでにドジャース入団確実とも噂され、今から大きな話題となっている。
井口氏と言えば、あの「2試合連続完全試合」で佐々木降板を決断した監督でもある。佐々木は海を渡っても、大谷のような大成功を収めることができるのか。
「『1年を通してローテーションを守っていない』という声もありますが、あまり心配はしていません。メジャーは年間通して、1回の登板が100球を超えることがなく、常に同じ球数。その点ではルーティーンを日本より作りやすいのかなと。現状の朗希でも、まったく問題なく通用すると思います。むしろガンガン振ってくれる分、2球あれば追い込めるメジャーの方が勝ちやすい、とまで思っていますね。真っすぐは速いし、落ちる球もありますから。
彼もまた、自分の野球人生に対して、明確なビジョンを持つ選手です。本にも書きましたが、『完全試合未遂』の時は、本人が『9回までは投げられない』と伝えてきたんです。続投の選択肢もあったとは思いますが、その後のケガのリスクや、パフォーマンスへの悪影響も、自分でちゃんと考えていた。
朗希は毎週決まった曜日に病院に行って検査しているんです。当然、その内容も自分からチームに伝えてきます。あの選択はそうした日々のコミュニケーションの結果、彼の判断を尊重して決めたことでした。
他にも彼は、自分が開幕投手になったと仮定しての練習メニューを、シーズンが終わった段階から逆算して組み立てられる。それくらい徹底した自己管理が、特にアメリカでは求められます。そういう選手は、たとえ壁にぶつかったとしても、いい方向に軌道修正できるからです」
それこそ仮に来季以降、ドジャースに入団するとなれば、かの球団は大谷の投手復帰に向け、今シーズン中に6人ローテ制にかじを切るのが既定路線。それは佐々木にとってもおあつらえ向きと言えよう。メジャー最強格のチームで大谷、山本由伸(25)、佐々木の日本のエース3人が、バンバン勝ち星を稼ぐ姿を、野球ファンなら見たいに決まっている。
最後に監督業を離れて約1年半が経つ井口氏本人の「ビジョン」を問うた。メジャーにも精通しているだけに、海の向こうで初の日本人監督、なんてこともあるのだろうか。
「先日、ホワイトソックスのキャンプ取材に行った時にも、オーナーに『コーチ修業するならいつでも来てくれ』と言われましたが、まだ、メジャー指導者というチャレンジに対し、僕の心の準備ができていない状況です(笑)。
それよりも今は、野球の魅力を伝える仕事を勉強中、という段階。今はとにかくいろんなチーム、いろんな野球を見て学び、解説者という仕事を極めたい、と思っています」
大谷、佐々木ら、日米で注目を浴びる選手の活躍とともに、井口氏本人の今後にも期待が膨らむばかりだ。