とある地球外生命体の研究者宛てに、匿名で「謎の遺体画像」が送られてきた。受け取ったのはスペインの著名なジャーナリスト、ホセップ・ギハロ氏で、それを3月1日にSNSにアップ。この遺体がコロンビアで見つかったとされることで、現地紙「エル・ティエンポ」が運営するニュースサイトで公開されることになったのである。
ニュースサイトの記事によれば、概要は次のようなものだった。
情報提供者が言うには、このミイラは800年以上前のもの。人間なら12本あるべき肋骨が10本しかなく、頭蓋骨は細長い。目は吊り上がり、一見して小型エイリアンを思わせた――。
今年1月にも隣国ペルーで「エイリアンのミイラ」なるものが公開されて、大騒ぎに。結局、これは動物の骨の一部から作られた偽物であることが判明している。
そんなこともあり、ギハロ氏はSNSで〈詳細な検証可能なデータがないので、正確にはわからない〉として、さらなる科学的データが必要である、との見解を示した。
だが、このエイリアン風の遺体をめぐる報道は、さらに拡大することになる。今から20年以上前の2003年にチリで発見された「アタカマ・ヒューマノイド」疑惑が再燃したからだ。
これは「アタ」の通称で呼ばれ、たび重なる研究の末に人間の胎児の死骸である可能性が高いとされるも、いまだ「エイリアンの死骸だ」と主張する専門家が少なくない物体である。
チリのアタカマ砂漠には、ラ・ノリアと呼ばれるゴーストタウンがある。そこで廃墟と化している教会の付近で、白い布に包まれた状態で発見されたのが「アタ」だった。
身長は15センチほど。うろこ状で褐色の体をしたミイラは、エイリアンを思わせる異様な姿だ。
「スペイン人収集家の手に渡った後、米スタンフォード大学の研究者ギャリー・ノーラン氏によってDNA解析が行われることになりました」(科学ジャーナリスト)
そしてゲノム解析などの結果、このミイラは骨形成に関する7個の遺伝子で64の変異を持つ、ヒトの女性の胎児の可能性が高いとされたが、専門家の中には「単なる小人症だけでは、この胎児に見られる全ての特徴を説明できない」との見解もある。20年以上を経過した現在もなお、議論の決着はついていない。
そうした状況下での、コロンビアでのミイラ発見。はたしてこの2体のミイラに共通点はあるのか。研究者による侃々諤々の意見が交わされている。
(ジョン・ドゥ)