春のドラマ視聴率が出揃った。ところが、ジャニー喜多川氏の性加害問題とその後の旧ジャニーズ所属タレント外しは何だったのか、というほど、同事務所残留組と退所組のキャスティングが目立つ。それぞれのドラマについて、最新の世帯平均視聴率ランキングと配信ランキングを見てみると…。
1位はジャニーズ残留組の木村拓哉が主演し、共演者にも主演クラスの豪華キャストが揃う話題作「Believe-君にかける橋-」(テレビ朝日系・木曜21時)で、11.7%だった。ところが放送後、実際にゼネコンに勤務する視聴者から「主任1人だけで取引先に出向くことなんてありえない」と、リアリティーに欠けるとの指摘が。受刑者の髪型が自由すぎる、とのツッコミもあった。
同ドラマ枠は「イケおじ俳優」の群像劇枠だったはずが、木村だけを不自然に引き立てるワンパターン路線は否めず、2話目以降も視聴率が2ケタをキープできるのかが課題だ。
3位の「光る君へ」(NHK総合・日曜20時)は10.5%。退所組の二宮和也が出演予定だと発表されたばかりだ。嵐の松本潤が主演した「どうする家康」と、現時点では年間平均視聴率が同率の11.2%で並んでいるが、NHKが力を入れ始めたオンデマンド配信数では、過去最高記録を更新している。
4位の「特捜9 season7」は、残留組の井ノ原快彦主演。昨年の放送は全9話で、シリーズ平均視聴率が1ケタに終わる中途半端さが災いしたのか、最新の世帯平均視聴率8.6%は、同シリーズとしては最低水準となった。
井ノ原と同率4位、初回視聴率8.6%で並んだ退所組の山下智久主演「ブルーモーメント」(フジテレビ系・水曜22時)は、同局の大ヒット救急医療ドラマ「コードブルー」を彷彿させる。気象災害に見舞われた人命を守るため、命懸けで救助に立ち向かうSDM(特別災害対策本部)を描く。
世帯視聴率7位の「Destiny」(テレビ朝日計・水曜21時)は6.8%。主演・石原さとみの旧友で、事件の真相を知るキーパーソンを、残留組の亀梨和也が演じている。
残留組でSixTONESの森本慎太郎が単独初主演、テーマソングをKing&Princeが歌う「街並み照らすヤツら」(日本テレビ系・土曜22時)は初回視聴率わずか5.1%で、13位に沈んだ。
退所組の錦戸亮は前クール、地上波ドラマに久しぶりに復帰した。彼がナゾの天才外科医を演じる医療サスペンスドラマ「Re:リベンジ-欲望の果てに-」(フジテレビ系・木曜22時)は、14位の4.4%だった。
世帯平均視聴率を比べると、いまだ地上波では元ジャニーズ優勢のように見えるが、ドラマ配信サイトTVerのドラマ視聴数ランキングを見ると、形勢は逆転する。
ランキング6位がキムタクの「Believe-君にかける橋-」であるのに対し、8位に山下の最新作、25位にも過去のヒット作「コードブルー」が入るなど、退所組、特に山下の健闘が光るのだ。広告代理店関係者が言う。
「広告収入に影響がある女性視聴者層は、オンデマンド配信視聴スタイルに移行しつつあります。スポンサー企業が次々と旧ジャニーズ勢と契約を終了させる中で、春ドラマのシーズン平均視聴率とオンデマンド配信数の結果次第では、残留組に強い逆風が吹くかもしれません。退所組にはさらに、地上波ドラマにキャスティングされやすい環境が揃ってきました」
ドラマのキャスティングが所属事務所の力学に支配される時代は、そろそろ終焉を迎えるのかもしれない。