5月13日に放送された第31話が放送開始後、最高の平均世帯視聴率を記録したNHK連続テレビ小説「虎に翼」。この上げ潮をさらにアップさせるかのように、16日に放送された第34話では視聴者歓喜の場面が登場した。実はその伏線が第31話にあったという。
静かに愛情を育てていた相手、明律大の同期・花岡悟(岩田剛典)が婚約したことを知りショックを受けた主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉)。そんな彼女を気の毒に思い、轟太一(戸塚純貴)と山田よね(土居志央梨)が花岡を呼び出し抗議したこの日。圧巻は轟と花岡のバトルだった。
「轟が『あんな仕打ちがあるか』と切り出すと、花岡の言い分は寅子と将来を約束していわけではないと反論。婚約者の奈津子(古畑奈和)は女学校を卒業次第、家庭に入ってくれて、自分の赴任先のどこへでも来て、さらに父親の面倒を見ると言ってくれていると話しました。それでも轟が、寅子にきちんと話もせず婚約したのかと迫ると、花岡は日本初の女性弁護士を目指す寅子の夢を奪うことは自分にはできないと、苦渋の決断を匂わせましたね。このやり取り、声を少々荒げて怒る轟と落ち着いたトーンで真摯に話す花岡、その2人の様子がタイプこそ違えど互いに寅子を思う気持ちが伝わってきたと視聴者は感動したようです」(エンタメ誌ライター)
女性は結婚したら必ず家庭に入る…それが当然の義務だった時代ならではの葛藤に涙する視聴者もいたようだが、視聴者の歓喜は弁護士としての社会的信用を得るために見合い相手を探してほしいと、寅子が両親に頭を下げる場面で訪れた。
「寅子の前に、かつて猪爪家に書生として下宿していた佐田優三(仲野太賀)が現れたんです。そして『男性は身の回りのお世話をしてもらいたくて結婚するのに、社会的地位が欲しいっていう私の理由が許されないなんて』と悩む寅子に対し、優三が『それ、僕じゃダメかな。社会的地位を得るための結婚相手…。僕じゃダメでしょうか!』とプロポーズしたんです。ロマンチックさの欠片もない場面でしたが、これが視聴者を歓喜させたんですね」(前出・エンタメ誌ライター)
ここで冒頭の伏線問題である。第31話では、寅子は仕事で起きた出来事を母のはる(石田ゆり子)に語るものの、反応が今ひとつで気分は不完全燃焼。すると、寅子は「こんな時に優三さんがいてくれたら…」と、寂しい気持ちを漏らしていたのだ。
この場面をいきなり思い出し、視聴者は最初は利害の一致だとしてもこの2人は最終的にかなりうまくいくのでは…と、希望に満ちあふれたというわけである。今後の展開からも目が離せない。
(石見剣)