「紫おばさん」と呼ばれる日本人女性をご存じだろうか。
この女性、おそらく世界で最も有名な日本人の一人で、少なくともK-POPファンの間では「一番有名な日本人」と言って過言ではない。
ところで、韓国の人気ポップアイドルグループ、BTSの周辺が再びにぎやかになっている。グループ最年長メンバーのジンが、兵役を終えて6月12日に除隊すると、翌13日にオフラインイベントの「ハグ会」を行うと発表したからだ。K-POPに詳しい音楽ライターが話す。
「抽選で1000人という狭き門のハグ会については、主催者側が応募要項の訂正するなど、すでに大混乱を招いています。それに関してはトラブルがないことを祈るばかりですが、ジンが帰ってくることによって、しばらく大人しかったアーミー(BTSのファン)が、再び活性化することは容易に想像できます」
アーミーの活性化はK-POP界、世界の音楽業界においてポジティブな話だが、同時にファンの間で「心配事」がひとつ浮上するという。それが冒頭で挙げた「紫おばさん」だ。
韓国では人気アイドルらが仕事で海外に出る際に、その姿をさまざまなメディアが生中継するのが通例となっている。だが、そのハプニングは2023年7月の仁川空港での生中継時に起きた。現在兵役中のBTSのジョングクが、ニューヨークへ出国する際のことだ。前出の音楽ライターが説明する。
「紫色のショールを羽織ったアラフィフ世代と思しき小柄な女性が、黒いスーツケースを転がしながら規制線を越え、ジョングクに駆け寄ったんです。その距離はSPがしっかり抑止できていなければ、ジョングクにぶち当たったであろう至近距離で、その様子はDispachなど、韓国の各メディアの生配信でもしっかりと映し出されていました。すると、即座にSNSの『検証班』たちが女性を特定。その女性こそ知る人ぞ知る、ある有名なイルアミ(日本人アーミー)ではないかと判明したのです」
なぜ「知る人ぞ知る」か。
実はこの女性は、それ以前から約5年間にわたり、あらゆる場所で推しメンであるジョングクへのメッセージを書き込み、スペースと呼ばれる音声配信をし続ける有名人だったのだ。発信の内容は「ジョングクと婚約した」「ジョングクは自分の魂の片割れ」などの妄想系が主だが、渡韓した際にはジョングクの自宅近辺からも発信していたという。前出の音楽ライターが続ける。
「本人は自分はアーミーと呼ばれるファンではなく、『ジョングクの相互理解者』だと言っています。仁川空港ではキャリーバッグを転がしていましたが、これはジョングクが一緒にニューヨークへ連れて行ってくれると信じていたというのが、映像でその様子を見たファンの総意でしたね。実はそこまで有名だったのに、画像で特定されたのはその日が初めてでした。それもあって『紫おばさん』という呼び名がついたのです」
ところが、正体がわかると世界中のK-POPファンから「なんとかならないのか」という声が絶えなくなったという。
「日本では見て見ぬふりをしているファンが多いのですが、海外のファンからは心配の声が多いようです。ジョングクと親しい他のK-POPアイドルやタレントのイベントにまで現れるなど、チケットを持っていなくてもどこにでも出没して『ジョングクのところへ連れて行って』と懇願することがあると聞きます」(前出・音楽ライター)
そして今回、ジンの除隊イベントには「紫おばさん」が出没する可能性が高いのではないかと、アーミーたちが戦々恐々としているのだという。それにしても、まさかそこまで有名な「日本人」が存在しているとは…。
コロナ禍が過ぎてイベントが増えたことで、K-POPに限らず「推し活ブーム」の勢いはとどまるところを知らない。実際、それ一色の生活を送っている人は少なくないという。
今回紹介した「紫おばさん」は少々エキセントリックすぎるが、アイドルの応援はあくまで趣味程度にとどめておく方が、周囲にも温かく見守ってもらえるかもしれない。
(塚田ちひろ)