大規模なサイバー攻撃の影響で、6月8日早朝からサービスを停止している「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」「ニコニコニュース」などのニコニコサービスについて、事業を運営するドワンゴは、ニコニコのシステム全体を再構築すると発表した。
同社はニコニコサービスの復旧を見守る場として、競合する動画配信サイト「YouTube」に避難所を設け、生配信サービスを再開させた。
サイバー攻撃がどの国によるものかは明かされていないが、ニコニコサービスがYouTubeに「疎開」「緊急避難」するとは、異例の事態だ。
ニコニコ動画は2006年から運用を開始した老舗の動画共有サイトで、2024年3月時点での有効アカウント数は9878万人。有料のプレミアム会員は117万人を超える(4月以降はサービス運用に変更あり)。
日本国内で開かれる記者会見の多くが、各省庁や自治体の監督下に置かれた記者クラブに加盟しているオールドメディアしか参加できない「報道の不自由」という状況にある。ところがニコニコ動画の記者は会見に「凸撃」し、閉鎖的な記者会見を会員向けに生放送してきた。
日本国内では他にも、サイバー攻撃被害が相次いでいる。
ドワンゴのグループ法人で、通信教育事業を全国展開する角川ドワンゴ学園の学習サービス「N予備校」がそうだ。サイバー攻撃の影響で、動画教材を使うN高等学校、S高等学校の高校生がログインできないなど、オンライン授業に支障を来している。
また、岡山県精神科医療センターは6月11日、サイバー攻撃によるシステム障害により、患者4万人分の個人情報などが流出したと公表した。5月、病院のサーバーがランサムウェアによるサイバー攻撃を受け、電子カルテの閲覧ができなくなり、岡山県警に被害届を出したところ、過去10年分、4万人の氏名や病名などが流出した可能性があることがわかった。
世界に目を向けると、チベットが現在、大規模なサイバー攻撃を受けている。IT企業の聖地シリコンバレーがある米カリフォルニア州では、ロシアからの大規模攻撃を受ける可能性があると、警告を出した。同州では5月、医療機関や図書館がサイバー攻撃を受けたばかりだ。
今後、大谷翔平や山本由伸が在籍するドジャースの野球中継から、日本国内の医療や交通インフラ、キャッシュレス決済まで、何がサイバー攻撃の被害に遭うかわからない。
小銭を持ち歩かなくなって久しいが、銀行ATMやキャッシュレス決済が使用不可になることを想定して、多少の現金は持っておいた方がよさそうだ。
もはや日本は戦争状態にあり、世界的なサイバー戦争に巻き込まれてしまった。IT担当大臣といえば、日本では長らく、スマートフォン操作もおぼつかない高齢議員専用のシルバーシート状態だった。半導体先進国の台湾がオードリー・タン氏のような専門家を担当大臣にしているのに倣って、日本もITインフラ防衛に本気を出す時がきたのではなかろうか。
(那須優子)