来年3月19日、20日に予定されている、東京ドームでのメジャーリーグ日本開幕戦の概要が、うっすらと見えてきた。6月11日付の「サンケイスポーツ」が報じたもので、大谷翔平と山本由伸が所属するドジャース来日の可能性は低く、今永昇太と鈴木誠也が所属するシカゴ・カブスの主催試合で「内定」、近く正式決定するという。
ドジャースの今季開幕戦は3月20日、韓国ソウルの高尺スカイドーム開催だったが、試合直後に大谷の元通訳、水原一平被告による大谷の銀行口座からの不正送金、使い込みが発覚するという「悪夢」の始まりだった。
球団職員もメディアも当事者不在の中で賭博騒動に振り回され、選手は時差ボケ解消と地球を半周する大移動で、3月29日の本拠地開幕戦まで1週間以上の休養と調整を要した。
その上、来年も東京ドームのアジア開幕戦とあっては、選手だけでなく、地元ロサンゼルスのドジャース・ファン、さらには中継するテレビ局の不興を買うのは必至。大谷の二刀流復活を日本で見る夢は幻に終わるようだ。
カブスは2000年春、ニューヨーク・メッツとともに来日。2球団は巨人と東京ドームで、そして西武と西武球場で、それぞれプレシーズン・ゲームを開催している。現地時間6月10日に発表された、メジャーリーグの有識者によるサイ・ヤング賞候補者投票結果で「ナショナル・リーグ5位」の得票で、日本人初のサイ・ヤング賞の期待がかかる今永が所属するカブスなら、ドジャースに代わる救世主、開幕戦チームとしては申し分ない。
その今永のプロデビュー戦は、本拠地・横浜スタジアムでの巨人戦だった。まだ硬さが残る新人投手は、3本塁打を含む7回5安打4失点(自責3)と炎上。その後、4試合目の阪神戦で14奪三振を奪いながらも敗戦投手となるなど、勝ち星に恵まれない苦難を味わった。防御率1.96(6勝)をマークしながら味方打線の援護に恵まれないメジャー1年目の今季と重なるものがある。
大谷のドジャースにフラれた東京ドームのメジャー開幕戦を救うのが、読売巨人軍からプロの洗礼を浴びた今永というのは因縁だろう。円安の現状、ジャパン・マネーがカブスにどれだけ魅力的に映るかは微妙だが、鈴木も今永もカブス残留の上で、サイ・ヤング賞受賞記念の凱旋帰国となってほしいものだ。
(那須優子)