元NHKアナウンサー・有働由美子が日本テレビの「夜の顔」から撤退して約2カ月が経つ。5年半にわたりメインキャスターを担った「news zero」を卒業したのが3月末。ところが新たに挑戦している番組の視聴率が振るわないのだ。
現在、有働が手掛けているのは、松下洸平とともに出演する「with MUSIC」(日本テレビ系)。19年半も続いた「世界一受けたい授業」に代わり、土曜の夜8時に新設された音楽番組だ。5月25日の放送回を例にとれば、個人視聴率は3.6%(ビデオリサーチ調べ、関東。以下同)、世帯視聴率が5.6%と低空飛行。裏番組の「池上彰のニュースそうだったのか!!」(テレビ朝日系)は個人5.5%、世帯 10.0%と、好調なのである。
いやいや、「with MUSIC」はスタート当初からキャスティングに力を入れていたはずだ。宇多田ヒカルと椎名林檎をテレビ初共演させたり、B’z稲葉浩志の7年ぶりの音楽番組出演を実現させたり。話題性としては十分なのだが、いかんせん番組の認知度が低いため、盛り上がらない。これには「世界一受けたい授業」を続けていた方がよかったのでは…という後悔の声が聞こえてくる。放送作家が分析する。
「ゲストアーティストとのトークに時間を割いている『with MUSIC』は、インタビュアーとしての有働を際立たせようとしている。とはいえ、『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)のような、古き良き王道の音楽番組スタイルをとっている。土曜夜8時の視聴心理としては、じっくり腰を据えて見る番組は、あまり好まれないのでは…」
こうなると、なにゆえ有働が音楽番組に挑戦しているのか、という疑問がなかなか解消されない。有働は「news zero」を離れるにあたり、次のように理由を説明していた。
「気付けば現在、54歳。次の新たなことにチャレンジする時は今しかないと考え、1年半前から相談させていただいていました。わたくしのわがままを聞いてくださり、このたび『news zero』が快く送り出してくれることになりました」
彼女が言う「次の新たなチャレンジ」がこの音楽番組であるならば、「世界一受けたい授業」の打ち切りは既定路線であり、「news zero」を降りる1年半前から、新番組に向けて動き出していたことになる。なのに、
「夜ニュースの顔として広く知られた有働をゴールデン帯のMCに据える英断を下した日本テレビですが、今のところ、その効果は表れていません」(前出・放送作家)
日本テレビには「THE MUSIC DAY」といった特番編成での音楽番組はあったものの、レギュラーでは存在しなかった。そこで新たなブログラムに有働という意外な人材を据えることで、新鮮味をもたせたかったのかもしれないが…。
(田英雄)