パ・リーグ首位チームと最下位チームによる、シーズン中の不可解な交渉。それがソフトバンクの野村大樹内野手と西武の育成選手・斉藤大将投手との交換トレードだ。支配下選手と育成選手のトレードは、史上初めて。驚きの「格差交換」となった。
「ソフトバンクが西武に借りを返したのでしょう」
こう話すパ・リーグ関係者は、昨年12月に山川穂高が国内FAでソフトバンクへ移籍したことに伴う人的補償で、和田毅が西武に指名された件を持ち出した。
「ところが和田はこれを拒否するという騒動が発覚しましたね。結果的に甲斐野央が西武に移籍することで決着しましたが、この時にソフトバンクには、西武に矛を収めてもらった恩が発生。その穴埋めに、今回の格差トレードが発動されたとみられています」
野村はフィジカルが強く、高校時代に68本塁打を放った右の大砲だ。今年はウエスタンリーグで打率2割7分8厘、2本塁打、21打点をマーク。一方の斉藤は2021年に左ヒジの手術を受けて育成契約となり、今季はイースタンリーグで12試合に登板して、防御率3.00だった。明らかに釣り合いが取れないトレードである。
「3年ほどファームで結果を出し続けていた野村ですが、層の厚いソフトバンクで広瀬や柳町、近藤、柳田、周東といった外野手の陰で埋もれてしまっていました。西武の貧打を救う救世主になるかもしれません。斉藤はケガの影響で3年ほど、いつ戦力外となってもおかしくない状況だった。明治大から入団したドラフト1位ということで、西武は契約を切りづらかった面があります。ソフトバンクで左のリリーフとして再生してもらいたいですね」(スポーツライター)
本人たちの心境や、いかに。いわくつきのトレードは、互いにウインウインの結果となるか。
(渡辺優)