この週末の7月13日は、2歳世代最初の重賞・函館2歳S(GⅢ、芝1200メートル)が行われる。東京の新馬戦(芝1400メートル)を圧勝したサトノカルナバル(牡、美浦・堀宣行厩舎)の参戦で、例年以上に目が離せない。
ここを使う理由はハッキリしないが、スプリント能力の高さを見込んでのことだろう。函館ウッドでの最終追いは4F55秒0~1F13秒0の馬なりとソフトな調整だが、これは堀厩舎ならではのもので、心配はいらない。前週の木曜日に函館入厩後は環境に慣れて、カイバをしっかり食べているようだから、仕上げに抜かりはない。
ちなみに、本州で勝ち上がってきた馬はこれまで2着、3着がともに1回あるだけで、勝利したことはまだない。はたしてこのジンクスを打ち破ることができるのか、見ものである。
鞍上の佐々木大輔はこれまでJRA重賞に15回騎乗して、昨年の札幌2歳Sの4着(マーゴットソラーレ)が最高成績。信頼度は60%ぐらいとみる。
ここからは、これを負かす可能性がある馬を見ていこう。まずは6月29日の函館新馬戦・芝1200メートルを5馬身差で逃げ切ったエンドレスサマー(牡、美浦・上原佑紀厩舎)。直線は離す一方で、最後は抑える余裕すらあった。中1週となるが、初戦は余裕残しの馬体だったので、叩いたことで上積みが見込めそうだ。
6月23日の函館新馬戦・芝1200メートルを1分9秒9で勝利したヤンキーバローズ(牡、栗東・上村洋行厩舎)も好素材。直線では内にモタれ気味だったが、騎乗した岩田康誠によると「遊ぶところがあった」。垢抜けた馬体をしており、奥が深そうに思える。
6月22日の函館新馬戦・芝1200メートルを1分9秒7で勝利したカルプスぺルシュ(牝、栗東・石坂公一厩舎)は、上がり33秒8の末脚で2着馬をクビ差退けたように、追われてから味がある。発馬を決めてスムーズに追走できるようなら楽しみだ。
昨年はダート1000メートルの新馬戦を勝ったゼルトザームがこのレースを10番人気で制したが、今年それに当てはまるのがリリーフィールド(牝、栗東・小崎憲厩舎)。6月15日の函館新馬戦・ダート1000メートル(良馬場)を59秒0の時計で勝ったが、これは相当速い。この時の2着馬は次の未勝利戦で0秒5差で勝利をしているのだから、この馬の力は確かなものだ。武豊騎乗で人気にはなるだろうが、しっかり押さえておきたい。
(兜志郎/競馬ライター)