今週は「函館2歳S」と「中京記念」が行われるが、前者は2年連続、後者は8年連続で2桁人気馬が馬券に絡む波乱傾向。しかも「中京記念」は1番人気馬が6年続けて敗退中。両重賞とも難解な一戦と言っていいだろう。
福島、中京、函館競馬は今週をもって閉幕。来週からは新潟、小倉、そして札幌と舞台は移る。ローカル競馬夏の陣の、いよいよ佳境を迎えることになる。
函館競馬のラストを飾るのは、函館2歳S。2歳馬にとって初の重賞である。デビュー間もない若駒の戦い。まだ海のものとも山のものとも判然としないこの時期。わずか1、2戦のキャリアで能力がいかほどのものなのか値踏みするのは、なかなか難しい。
それは、データにもはっきりと表れている。00年以降、これまでの16年間で1番人気は3勝、2着5回。2番人気も3勝で、こちらは2着がわずか1回。1、2番人気のワンツーもあったが、下馬評どおり決まるのはマレで、一筋縄では収まりにくいことがわかる。
02年に馬単が導入されて以降の14年間、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連で3回)。前述したように1、2番人気馬が連対することは意外に少なく、中穴傾向の重賞と見てよさそうだ。
それと特徴的なことは、この時期、牡馬、牝馬に力の開きはなく、同じ斤量(54キロ)を背負っての競馬ながら、過去16年間で牡馬が7勝(2着6回)、牝馬が9勝(2着10回)と、牝馬が優勢であることは頭に入れておくべきだろう。
では、以上のことを基礎知識にして、勝ち馬検討に入ろう。
新馬戦をあっさりと逃げ切ったロイヤルメジャー、福島でデビュー戦を飾ったバリンジャー、タイムトリップ、評判どおり人気に応えて新馬戦を余裕たっぷりに逃げ切ったガーシュウィンといったところが有力候補と見られている。
が、他にも厩舎期待の逸材は少なくなく、例年どおり簡単には決まらないのではないか。
将来性を含めるとバリンジャーが一歩リードしているように思えるが、当方としてはメローブリーズに白羽の矢を立ててみたい。
走破時計は道悪だったため目立つものではなかったが、勝ちっぷりが鮮やかで、レースセンスのよさを感じないわけにはいかなかった。かなりの能力を秘めていそうで、前述した有力どころに決してヒケは取らないと見たからだ。
このデビュー戦は、まだ体に緩さが感じられ、印象としては8分の状態、仕上がり途上でもあった。が、いざ蓋を開けると終始好位の3番手につけ、直線に向くや、最速の上がり脚であっさりと抜け出しての完勝だった。
2歳馬にしては、なかなか味のある勝ちっぷりで、その際、手綱を取った古川騎手は「素直で乗りやすく、今後が楽しみ」と、高い評価を与えていた。
厩舎サイドの期待も大きく、石毛調教師はじめ、スタッフは「まだ良化の余地は十分。そう差はないはず」と口をそろえ、ヤル気をにじませていたほどだ。
現役最強マイラー、モーリスと同じスクリーンヒーロー産駒で、母の父がエルコンドルパサー。近親にムードインディゴ(GI秋華賞2着。GIII府中牝馬S勝ち)、チャペルコンサート(GIオークス2着)がいて、血統からも今後、距離が延びても活躍しそうな雰囲気がある。馬体もアカ抜けており、チャンス十分と見てよさそうだ。
要注意は道営(ホッカイドウ競馬)から挑戦する2頭、バンドオンザランとピンクドッグウッドだ。
バンドオンザランは、栄冠賞を勝って勢いに乗っており、その際6着に敗れたのがピンクドッグウッド。ともに母系は優秀で、前者は中央で活躍したパワースポットを姉に持つ良血。
後者は、近親にホワイトカーニバル(GIIIフェアリ―S)、サンビスタ(GIチャンピオンズC)がいる。ともに「走りは軽く、芝の対応力は十分」(両関係者)とあって、軽く見るのは禁物だ。