連日の猛暑。気をつけたいのが「熱中症」だ。これは気温や湿度が高い環境下に長時間いることで、体温の調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態。めまいやだるさ、吐き気などを発症し、場合によっては意識障害を起こし、死亡するケースもある。
特に高齢者は注意が必要。熱中症死亡者の約8割が高齢者だという。その理由は、温度に対する感覚が加齢に伴い、鈍くなってしまうからだ。
脳が「暑い」と感じて発汗や体内の熱を逃す指令を出す「行動性体温調節」の作動機能が落ちるため、暑さを感じる機能も低下してしまうのだ。 高齢者はこまめな水分補給が必須。若者よりも体内の水分量が約50%程度とかなり少ないため、喉が渇いていなくても、水分補給を行うことが重要になるのだ。エアコンの使用もポイント。熱中症死亡者の高齢者のうち約9割がエアコンを使用していなかったというデータもある。
他にも「熱中症」と症状が似ている「脳梗塞」も夏場に起こりやすいため気をつけてほしい。
主な予防法は以下の4つ。
① 高温や直射日光が当たる場所への外出はなるべく避ける
② エアコンの適切な使用(扇風機やサーキュレーターとの併用も)
③ こまめな水分・塩分の補給(目安は1日1.2リットル、コップ約6杯の量)
④ 涼しい服装(外出時には日傘や帽子の活用)
さらに、今年の4月から従来の「熱中症警戒アラート」に「熱中症特別警戒アラート」も追加された。「熱中症特別警戒アラート」が発令された時は、各地方自治体で「クーリングシェルター」の避難所を設けるようになったので確認しておこう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。