まだ日本列島の大半が梅雨とはいえ、陽が差すと猛烈な暑さが襲う時期となった。となると、怖いのが熱中症である。
2030年に熱中症による死亡者数の半減を目指す──西村明宏環境相はそう宣言し、政府は4月末に成立した改正気候変動適応法に基づく「熱中症対策実行計画」を初めて作成。閣議決定しており、関係府省庁が連携して今夏から対策を強化するというが、事はそう甘くはない。
熱中症による死亡者数は昨年までの5年間平均で1295人と1000人超。今年も5月1~21日の時点で熱中症による救急搬送者は全国で2566人にのぼり、昨年同期間の1042人に比べ約2.5倍となっている。
ただ、今回打ち出された「対策」の概要は、高齢者や子どもなど熱中症のリスクが高い人を念頭に、福祉関係の団体などに「見守り協力」の要請、産業界に予防のための商品開発を依頼、学校のエアコン設置の取り組み強化と、何とも頼りない。
結局、自分の身は自分で守ることが重要になってくるが、医療関係者によれば、
「体を暑さに慣れさせる『暑熱順化』を実践すれば、死亡リスクは確実に減ります。これから本格的に気温が上がり熱中症の危険が高まる前に、無理のない範囲で汗をかくことが大切。日常生活の運動や入浴で、体を暑さに慣れさせるのです」
まだ暑さに慣れていないこの時期については、
「気温が高くなる日の活動では屋外でも室内でも体調に敏感になること。めまいや顔のほてり、体のだるさや吐き気、筋肉痛や筋肉のけいれんなどに気付いた場合は涼しい場所に移動して体を冷やし、水分や塩分を補給する。症状が良くならない場合は、医療機関を受診することです」(前出・医療関係者)
今のうちに「暑熱順化」を意識しよう。
(蓮見茂)