この国の官僚と政治家は、日本人を「根絶やし」にしたいらしい。
こども家庭庁は来年度以降、働く親の代わりに放課後に小学生を預かる「学童保育」の登録条件を厳しくするという。8月5日付の読売新聞が報じたものだ。
それによれば、こども家庭庁が「学童保育」の登録を厳格化する理由として、
①夏休みしか利用しない児童がいる
②登録した児童の2割に利用実態がない
③学童保育の数が足りず、毎日利用したい児童が待機児童になっている(現待機児童数1万8462人)
こうしたことから、週3日以上の利用見込みがない児童の学童保育登録を制限するというのだ。
こども家庭庁はトップの加藤鮎子大臣から末端の小役人まで、バカしかいないのだろうか。
そもそも学童保育は、夏休みにこそ需要がある。授業も給食もなく、部活動もなく、親が働きに出ている終日、自宅に10歳以下の子供だけを置いておくのが心配だから、学童保育を利用する。
公立図書館は涼みにきている高齢者で満席になり、子供は締め出されてしまう。さらに登録した児童が多いわりに保育施設は手狭で、人口密度が高いから、子供同士のトラブルが起きやすい。学童を利用したいけれど、劣悪な環境を嫌がる子供がいるのだ。
専業主婦やパート主婦の家庭でも親が急病になったり、祖父母の介護などで突如、学童利用が必要になることがある。緊急時にすぐに学童利用できるならいいが、実際には書類作成や承認に時間がかかり、地元の学童に空きがあっても、利用開始までに2週間以上かかることがある。
学童保育数が絶対的に足りず、毎日利用したくても利用枠がないから週1日か2日しか通えない。必要な時に利用ができないから、小学校入学に合わせて親たちが学童保育に申し込まざるをえない。そんな窮状と現実を、こども家庭庁はまったく把握できていないのだ。
社会保険料の負担額が世帯収入の4割を占め、両親ともに働かないととても生活できない環境を作ったのは、官僚と政治家だ。厚労省の調査によれば、1980年代に600万世帯だった共働き家庭は2020年代に入り、1200万世帯を超えて倍増。その割合は育児世帯の66%を占めている。子供の3人に2人は共働き家庭なのがわかっているのに、保育園も学童保育も十分な「受け皿」を準備しなかったのは、官僚と政治家の怠慢でしかない。
埼玉県内で学童クラブを運営し、学童保育運営支援アドバイザーで「知られざる〈学童保育の世界〉問題だらけの〝社会インフラ″」(寿郎社)の著作がある萩原和也氏に話を聞いた。
「児童クラブやその他、子供の居場所となる施設を急いで整備して受け入れることが、やはり解決策となります。新方針は国が打ち出している、いわゆるサマー学童(夏休み短期間開所学童の整備)の進展と同時並行であることが必要で、夏休みに確実に入所できる安心があれば、効果を生むでしょう」
ところが短期間開所施設の整備は、いっこうに進んでいない。
「そうでない現状を踏まえると、週1日から2日でも児童クラブに通っている児童の居場所を奪うことになりかねず、デメリットの方が大きい愚策としか言いようがありません。国が地方の実態を知らないで制限策を検討しているならば、こども家庭庁の政策立案能力を疑います」(前出・萩原氏)
毎年、生まれてくる赤ん坊の数は減っているのに、待機児童は増え続けるばかり。2万人近い居場所のない子供を救済するには、受け入れ枠の拡大しかない。
ところが予算も人員も増やさず、学童保育が必要な子供を学童から締め出そうというのだから、こども家庭庁の実態は「こどもイジメ庁」だ。こどもイジメ庁と自公政権が続く限り、日本の少子化に歯止めがかかることはないだろう。
(那須優子)