それでもメジャー移籍強行か。西武・高橋光成の今オフの動向から目が離せない。
2軍調整を経て50日ぶりの1軍復帰登板となった8月12日の日本ハム戦は、6回途中4失点で敗戦投手に。これで開幕から未勝利の9連敗。今季の西武低迷の大きな要因となっている。
高橋は昨オフ、球団にポスティング・システムを利用してのメジャー移籍を直訴したが、紆余曲折の末に残留した。開幕前に「30試合登板、投球回数200イニング」を目標に掲げ、その他の数字で全てキャリアハイを達成し、今オフこそは強行突破でのメジャー移籍をもくろんでいた。
だがフタを開けてみれば、極度の不振に。とてもメジャー移籍を持ち出す状況にはないはずだが、本人は意に介していないという。スポーツ紙遊軍記者が現状を明かす。
「もう、心ここにあらずという表現がピッタリですね。本来なら今季はチームでの大活躍を置き土産にしてメジャー移籍するつもりだったわけですが、今のチーム状況を考えれば、活躍してもあまり意味はないですからね。一日でも早くチームから離れたいのが本音でしょう。シーズン終了と同時に球団と交渉を開始するのは間違いないと思います」
仮にアメリカに渡ったとして、今季の成績ならば、通常は日本ハムからポスティングで移籍した上沢直之のように、春季キャンプは招待選手となる「スプリット契約」(メジャーとマイナーの二重契約)だ。ところが高橋の代理人はダルビッシュ有(パドレス)、鈴木誠也(カブス)を顧客に持つ大手代理人事務所ワッサーマン社のジョエル・ウルフ氏だ。契約年数は短いだろうが、メジャー契約を勝ち取る可能性は十分にあるため、本人もその気になっているのだろう。前出の遊軍記者は、
「自らの肩を消耗品と考えて、今季は100%の力を発揮していないのでは、というきな臭い話もありますからね。とにかく今オフは、昨年以上に球団とモメるのは間違いない」
チーム再建のために高橋の力は不可欠だが、すんなり元のさやに収まることはなさそうである。
(阿部勝彦)