関ジャニ・村上信五とマツコ・デラックスがMCを務める番組「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)で特集され、一躍有名になった“桐谷さん”というオジサンをご存知だろうか。
本名・桐谷広人さん(66)は元プロ棋士で、引退後は生活のほとんどを現金を使わず、所有する株の「株主優待券」をやりくりして生活しているという人物だ。
日々の食事や、娯楽の映画鑑賞などは全て優待銘柄で済まし、交通手段は自転車を利用するなど、彼の生活は極力お金を使わない。株投資は、証券会社に将棋を教えに行く機会が増えたことから、その見返りとして株を教わったのがはじまりで、ピーク時の資産は3億円(!)にも及んだが、ライブドア事件、リーマンショックを経て、現在は残った1億円で生活をしているんだとか。
明るく生真面目な性格と、60代とは思えない自転車のこぎっぷりも手伝って、その後さまざまな番組で紹介されたが、あれから2年がたった今も、消えるどころか、人気は高くなるばかりだ。
昨年はタカラトミーからクリーナーストラップがガチャの景品として登場、また人気ゲームアプリ「チャリ走」ではママチャリでステージを爆走する桐谷さんがキャラクター化されるなど、その人気は留まるところを知らない。この1月には、LINEのスタンプにもなり、その知名度は一気に爆発しそうだ。いったいなぜ、このオジサンが人々にこれだけウケるのか。
桐谷さんはテレビのインタビューでこう話している。
「私は独身でひとりぼっちですから、家庭があって子供がいて孫がいてっていう方はそういう幸せもあるけれど、私にはそれがないから、必ずしも株をたくさん持っていることが幸せというわけではないと思いますね」
かつて、駆け出しの頃から慕っていた日本将棋連盟元会長の故・米長邦雄永世棋聖に、若かりし頃、彼女を寝取られたこともあるという桐谷さん。さまざまな幸せのカタチが模索される昨今、桐谷さんのうらやましくもどこかおかしい人生が、フィクションを超えて人々に愛される理由だろう。