アストロズ移籍後、菊池雄星の投球スタイルが変わった。8月19日(現地時間)のレッドソックス戦での先発登板では、6回途中まで3失点(自責点1)7奪三振と好投。チームは勝利したものの、菊池に勝ちはつかなかった。よく聞かれるのは「ブルージェイズ時代よりも、スライダーを投げる割合が増えた」という指摘だ。
この試合を中継したアストロズ専門チャンネルでも、放送中に「ブルージェイズでの今季登板22試合でのスライダーの割合は17%だった。アストロズに来てから、35%まで増えた」と紹介されていた。
「スライダー多投のモデルチェンジは成功したようですね。空振りを取る割合が増えています」(現地記者)
そのモデルチェンジには、ダルビッシュ有が影響を与えている。アストロズは正捕手だったマーティン・バルドナードがホワイトソックスに移籍したため、今季は複数の捕手を使い分けてきた。移籍後の初登板、そして8月19日のレッドソックス戦で菊池を導いたのは、ビクター・カラティーニである。
カラティーニはカブスでダルビッシュのパーソナル捕手を務め、同時にパドレスにトレードされたことでも話題になった。パドレスではやはり息の合ったところを見せていたが、昨シーズンの開幕直前にブリュワーズへの移籍が決まり、今季は若手捕手の教育係兼バックアップ要員として、アストロズと契約した。
もっとも、教育係といっても、今年8月に31歳になったばかりだ。しかし、多彩な球種を操るダルビッシュに配球面を鍛えられ、他の変化球投手が登板する際に、その成果を発揮してきた。
「カラティーニは『間』を大事にします。サインを出すテンポを変えて、投手にひと呼吸置かせることができる。次に要求する球種をストライクで投げてほしいのか、ボール球でいいのかまで、明確に指示を出します」(前出・地元記者)
どうやら日本の野球に近い配球をしてくれるようなのだ。
目下、アストロズはア・リーグ西地区の首位。ポストシーズンマッチでも「ダルビッシュ効果」を見せてくれることだろう。
(飯山満/スポーツライター)