現役時代は「くせ者」と呼ばれ、2019年シーズンから2023年まで巨人のコーチを務めた元木大介氏が、自身のYouTubeチャンネル〈元木大介チャンネル〉で明かした「スランプ脱出法」が出色だ。
「俺は調子悪くなったら基本、バットを振らなくした。悪いまま振り続けてると、なかなか(スランプから)抜けないなと思って。バッティング練習はするよ。するけど、逆にティー(バッティング)とかの量は減らして、左で打ったりとか、違う人のモノマネしてみたりとか、リフレッシュで紛らわしてた感じかな」
この手法がなんと、「魔女の宅急便」(角野栄子・原作)に似ているというのだが…。アニメ界の巨匠・宮崎駿監督の手によって映画化された名作と元木氏に、どんな共通点があるというのか。
13歳の女の子キキは、空飛ぶ魔法を生かして宅配業を開業。ところが仕事が軌道に乗り始めてまもなく、キキは飛ぶことができなくなってしまう。そんな折、画家の少女ウルスラにキキが相談。ウルスラはこう答えたのだ。
「描けない時は、描いて描いて描きまくる。それでも駄目な時は、描くのをやめて、何か別のことをする。すると不思議とまた描けるようになるんだ」
アニメ関係者が言う。
「原作にこのくだりはないことから、宮崎監督の経験に基づくエピソードなのではと、当時は噂になったものです」
かの名将・野村克也が楽天監督時代、既にセ・パ両リーグで本塁打王に輝くも、2009年シーズ終盤に20打席以上も安打が出なかった山﨑武司に、こんなアドバイスを送っている。
「今さら打撃練習なんて、お前ほどの選手がやることもないだろう。じっくり汗を流してみたらどうだ」
スランプに悩む名選手たちに、逆転の発想を聞かせたい。
(所ひで/ユーチューブライター)