9月10日(日本時間11日)、約3カ月ぶりにメジャーのマウンドに帰ってきたドジャースの山本由伸は、60球の球数制限がかかる中、4回を4安打1失点と、上々の復帰登板となった。
そしてもうひとつ話題になったのが、山本の「差し入れ」だ。メジャーリーガーが故障者リスト入りした際、復帰前にマイナーリーグで調整するのが一般的。その際、マイナー選手へは豪華な食事を差し入れるのが慣例となっている。
山本も先日、レンジャース傘下3Aラウンドロック戦で登板した際に、豪華なステーキやロブスター、寿司などをふるまったと明かしたのだ。
「メジャーとマイナーの格差は日本の1軍・2軍よりも大きく、経費削減のために遠征試合には8時間のバス移動、ということはザラにある。選手寮すらない球団は少なくなく、球団の地元でホームステイする選手までいるそうです。選手の食費はギリギリまで削られ、食パンにピーナッツバターとバナナ、中南米選手向けの豆料理だけ…などと極めて貧相な状況です」(メジャー関係者)
であれば、豪華なケータリングが差し入れされるとどうなるか。ベンチ裏はお祭り騒ぎなのである。
「自軍の選手にだけふるまうことが一般的ですが、山本は相手チームの選手にも同様の食事を提供したそうです。これは異例のサービスで、その総額は約1万4000ドル。日本円にして約197万円もかかったといいます」(メジャーリーグを取材するジャーナリスト)
太っ腹な金額には驚かされるが、山本のこうした異例の行動に際しては、日本人の「先駆者」がいた。山本が「人として尊敬している」と公言するダルビッシュ有だ。
「ダルビッシュは年齢のこともあって、ケガには人一倍、敏感。他の日本人メジャー選手に比べ、マイナーでの調整登板の経験が豊富である。これまで幾度となく若手マイナー選手への差し入れがメディアで報じられており、時には今回の山本のように、相手チームにも豪華な食事を提供し、感謝されています」(前出・ジャーナリスト)
他にもかつては、前田健太や岩隈久志の名前が報じられたことも。やはり定番は肉で、ステーキハウスのテイクアウトなどが喜ばれるようだ。日本人ならではのメニューである寿司は、ナマモノが苦手な選手もいるため、ウケは半々だという。
また、マイナー選手にではなかったが、カブスの鈴木誠也は、日本のお菓子を同僚選手に大量に差し入れして、喜ばれたことがある。日本のお菓子はどの国の選手にも好評だそうだ。前出のメジャー関係者の話。
「これはイチローも有名でしたね。現役時代、親交があったレッズのジョーイ・ボットとは試合前、イチローは大量のダンキンドーナツ、ボットは大量のピザを送り合ったんです。ボットは自分で『カナダのイチロー』を自称するほどイチローのファンで、シーズンMVPを獲った名選手同士の交流は大きく話題になりました」
異国の地で日本人選手が愛され、受け入れられるのは、応援する我々ファンにとっても嬉しいことなのである。