群雄割拠の大相撲は、今場所も戦国時代さながらの大混戦が続いている。スポーツ紙デスクが解説する。
「今年は春場所で尊富士、夏場所では大の里と、十両以上の関取の象徴である大銀杏を結えない『ちょんまげ力士』が幕内優勝を果たしています。今場所も手負いの横綱・照ノ富士が休場しているだけに、再び賜杯をかっさらう下剋上力士が躍進するかもしれない」
その筆頭候補が、大関を目指す関脇・大の里であるのは異論のないところ。そしてもうひとり、注目の的となっている力士がいる。初入幕の阿武剋(おうのかつ=阿武松部屋)だ。
「あまりのスピード出世に髪の毛の伸びが追いつかず、7月の名古屋場所まではザンバラ頭で破竹の8連勝の大躍進を見せました。今場所はちょんまげ頭ながら西前頭14枚目で、3日目に大関経験のある高安を寄り切って初白星を挙げています」(前出・スポーツ紙デスク)
しかし、なにも注目すべきは髪型ばかりではない。大相撲ライターが打ち明ける。
「阿武剋の日本体育大学時代の同級生には、大の里がいました。しかも全国学生相撲選手権ではその大の里を破り、学生横綱となっているのです。角界入り後、6場所で三役昇進と出世街道を先行するのは大の里ですが、阿武剋も昨年11月の九州場所で初土俵を踏んでからから10カ月で初入幕と、射程圏に。今や追いつけ追い越せで、初対決が楽しみです」
モンゴル出身で身長184センチ、154キロの阿武剋だが、驚くべきことに文武両道タイプだるという。
「日本語はペラペラの上、故郷モンゴルでは数学オリンピック優勝の経歴を持つ頭脳派です。十両昇進後、モンゴルで相撲中継があるのは幕内の取り組みだけと知り、今場所は家族に雄姿を見せたいと意気込んでいる。さらなる伸びしろに期待できそうです」
今場所の目標は「2ケタ勝利」と控えめな24歳。「ちょんまげ旋風」から目が離せない。