今季のプロ野球はほぼ順位が確定し、来季に向けて各チームの「戦力外通告」が始まっている。しかし、中にはまだまだプロで十分にプレーできる選手が少なくない。
顕著な例は、阪神を戦力外になった岩田将貴投手だ。2020年の育成ドラフト1位で入団した、リリースポイントが低い変則的なフォームが特徴の左腕。これまで1軍での登板はないものの、今季は2軍で46試合に登板して1勝2敗、防御率2.11と安定した成績を残していた。
今季は28歳の伊藤将司や31歳のベテラン島本浩也ら左腕が安定した成績を残せず、まだ26歳の岩田を一度は試してほしいと思っていた阪神ファンは一定数、いたのではないか。
パ・リーグに目を向けてみると、西武の戦力外が「宝の山」ではないかとされている。その顔ぶれはというと、浜屋将太、大曲錬、粟津凱士、伊藤翔、赤上優人、陽川尚将、ブランドン、高木渉、ジョセフ…。33歳の陽川、27歳の粟津を除く全員が26歳以下で、他チームに移籍すればまだまだ活躍の可能性がある選手ばかりだ。
とりわけ高木は8月まで2軍でOPS.8を超えており、打率2割5分7厘、7本塁打、30打点の成績はかなり魅力的だ。今季は1軍でわずか8打席しか与えられておらず、最下位を独走したチーム事情を考えれば、もっと試してみるべきだったのではないか。
6番・三塁で開幕戦に先発出場し、2安打を放ったブランドンも、大きな可能性を秘めている。懸案はケガの多さだが、環境と指導者が変われば一気に覚醒するかもしれない。
過去には近鉄の山本和範や巨人の大田泰示などが非情な通告を受けたが、その後、他チームに移籍して大活躍した。特に山本は戦力外から這い上がり、2億円プレーヤーにまで登り詰めた。イチローと首位打者争いまでしたのだから、むしろなぜクビになったのかと疑問に思うほどだ。
戦力外通告はチームの支配下枠を空ける意味もあるため、必ずしもクビを切られたからといって実力不足だとは限らない。岩田や高木をはじめ有力な選手は、シーズンオフに複数の球団からオファーが舞い込むかもしれない。
(ケン高田)