もう遅い? いや、それとも…。
今、日本ハムの2軍で、その去就が注目されている選手がいる。若林晃弘だ。開幕直前の3月11日に交換トレードで巨人から移籍したが、チャンスをモノにできず、しかも左太腿の肉離れで2軍落ち。4月には2軍戦に出場するも、またすぐに長期離脱した。
故障した直後、新庄剛志監督の「チャンスは一瞬、努力は一生。若林君はそのチャンスをモノにできなかった」というセリフが思い出される。
その若林が9月の1カ月間の2軍戦で打率3割4分6厘、OPSでも8割6分1厘と高い数字を残した。トータルでの成績は37打席31打数9安打、打率2割9分だが、ヒット、打点などは全て9月に稼ぎ出したもの。出塁率3割7分8厘と、復活を感じさせる活躍を見せた。
「来季は32歳、開幕直前の失態から考えると、戦力外を通告されてもおかしくはないでしょう」(スポーツ紙デスク)
とはいえ、イースタン・リーグの他球団スタッフは、9月の好成績を称賛して、
「フェニックスリーグで結果を残せば、もう一度チャンスをもらえるのでは」
と話している。
「巨人時代からケガの多い選手でした。でも内野と外野のどこでも守れるし、スイッチヒッターで俊足。一発の脅威もあり、究極のユーティリティープレーヤーですよ」(他球団スタッフ)
素質は十分、でもケガが多い…。日本ハムは判断に迷っているのではないだろうか。
「日本ハムは手薄な二遊間を守れる選手として、交換トレードを申し込んだんです。でも若林はここ数年、二遊間を実戦で守ったことがなかった。古巣・巨人のチーム事情で、外野での出場が多かった」(球界関係者)
もし現役ドラフトのリストに入れば、再考するチームは出てくるだろう。しかし若林が目指すべきは、日本ハムでの完全復活である。
(飯山満/スポーツライター)