NHK連続テレビ小説「おむすび」が、相変わらずの不人気だ。その声の多くが「平日の朝からギャルはキツイ」というもの。やはり「ギャル」という存在は特異なものだということが、これではっきりした。
にしても、いつから「ギャル」を肯定したり、リスペクトしたりする風潮になったのだろうか。ついこの間まで、その言動や清潔感のない身なりや頭の悪さがネタにされ、色眼鏡で見られる対象だったのに…。
そういえば、10月9日放送の「あさイチ」(NHK総合)に、「おむすび」でヒロインの母親役の麻生久美子が出演した際のこと。華丸(博多華丸・大吉)から「ちなみに、元ギャルですか」と聞かれ、
「ギャルやりたかったですぅ。今回『おむすび』でそう思いました。本当に(ギャルを)やっておけばよかったと思って」
深く悔やむ姿まで見せたのだった。
麻生といえば役柄の雰囲気だけでなく、普段もモノトーンでまとめた大人しい服装のイメージが強い。デビューのきっかけが、1995年の第6回「全国女子高生制服コレクション」でのグランプリ受賞。おまけに少々昔の話になるが、サッポロビールのCMでの和服姿がいまだに印象に残っていて、ギャルとは縁遠い気がするのだが…。もっとも、自身が出演する立場だから、肯定的な意見を言うのは当然といえば当然だが。
10月6日放送「ボクらの時代」(フジテレビ系)でも、奈緒が次のように発言している。
「ギャルにめちゃくちゃ憧れて、学生時代はもう、ギャルになりたくてしょうがなかったんですよ。どうギャルになれるか、ギャル雑誌を見て。バラエティーとかでギャルの方とお会いするともう、めちゃくちゃテンション上がるんですよ。私がなれなかった憧れの姿で」
ギャルを完全にリスペクトである。さらにギャル特有の表現方法に敬意を表し、
「『ヤバイ』と『死ぬ」だけで表現できる。『これヤバイ、死ぬ』って、ずっと。でも、そこにもニュアンスが違くて、凄いなって思うし」
昨今の「ギャル肯定化」の礎となったのは、以前にも書いたが、やはり、みちょぱの存在が大きい。クレバーな物言い、しっかり目上の人を立てる、彼氏(現・夫)の大倉士門への一途な愛、精神的に弱い友達(藤田ニコル)への気遣いといったみちょぱの姿を見て、三段論法的に「ギャルは賢くて年功序列を重んじ、友達思い」だと勘違いしたものと思われる。
で、10月15日放送「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)の「格付けし合う女たち」での、みちょぱ評だ。「一般男女に聞いた〝実はダラしない女″」がテーマだったが、この順位予想において、あんり(ぼる塾)は、みちょぱを10位(つまり、生活面や仕事面にの全てにおいて、いちばんダラしなくない)に格付けし、次のように絶賛したのである。
「ダラしない部分をひとつも見せていない。今、世の中でみちょぱさんを心配してる人、ひとりもいない」
すると当の本人は自身を9位に予想したとして、その理由を自ら説明した。
「私、お酒もほんと一滴も飲めないですし、お金も貯金しまくってるし、全然使わないです。ブランドも興味ないし」
みちょぱを10位に予想した、親友の藤田ニコルの証言はというと、
「みちょぱの鞄の中、見たことあります? 鞄の中、めっちゃ綺麗なんです。だいたいギャル上がりって鞄の中、ぐちゃぐちゃ」
これにゆうちゃみやエルフ荒川といったギャル勢は、大きく頷いていた。
やはり「ギャルが凄い」のではなく、単に「みちょぱが凄い」だけだということが、これで証明された。
今回の放送回は出演者の予想発表のみで、一般男女へのアンケート結果は次週への持ち越しとなったが、おそらくその答えも「やっぱりみちょぱは別格だった」に落ち着くに違いない。
みちょぱの活躍で「ギャルがキテる」と早合点し、朝ドラのテーマにしてしまったNHK。どうせギャルをテーマにするなら、みちょぱの半生を描いた方がよかったのでは。
(堀江南)