北朝鮮将校の爆死、兵士らの集団脱走――。「前編」で指摘したように、北朝鮮の独裁者・金正恩総書記はロシアの独裁者プーチン大統領との密約に沿って、ついにウクライナへの大規模派兵という「禁断のルビコン川」を渡ってしまった。
韓国や欧米の諜報筋が明らかにしたところによれば、北朝鮮軍は今、ウクライナへの大規模派兵に向け、以下のような不穏な動きを繰り広げているという。
●北朝鮮の特殊部隊に所属する約1500人の兵士が、北朝鮮北東部の清津(チョンジン)からロシアのウラジオストクやハバロフスクなどに輸送船で移送された。
●ロシア軍と合流した北朝鮮兵士らにはロシア軍の軍服と武器などが支給され、ウクライナ戦線への投入に向けた各種の軍事訓練が開始されている。
●そんな中、最大3000人規模の北朝鮮軍部隊が、ロシア連邦を構成するブリヤート共和国ウランウデ付近のロシア軍基地で、訓練を受けていることが確認された。
●その際、北朝鮮軍兵士らには敵(ウクライナ)から身分を秘匿するため、北朝鮮人と顔立ちが似ているモンゴル系ブリヤート人らの偽装身分証が支給された。
しかも韓国や欧米の諜報筋によれば、北朝鮮軍によるウクライナ派兵の規模は今後、1万人どころか「10万人超」にまでエスカレートしていくとみられている。北朝鮮とロシアの内外情勢に詳しい軍事専門家によれば、
「ウクライナの諜報筋からの情報では、プーチンが『ウクライナに派兵される北朝鮮部隊は全て捨て駒』と考えていることに、疑いの余地はない」
プーチンらしいなんとも非情な采配だが、次のような驚愕の顛末が待ち受けているというのだ。軍事専門家が続ける。
「今後、ウクライナに派兵された北朝鮮軍から万単位の戦死者が続出すれば、軍内の金正恩に対する不満や憎悪は極限に近づいていく。その時、北朝鮮で唯一、実力組織を有する軍が首都・平壌で金正恩を排除する軍事クーデター、いわゆる斬首作戦を実行に移す可能性はかなり高い、というのが軍事専門家の多くが予測する見立てなのです」
3代続いた金王朝は今、滅亡の危機に瀕しているのだ。
(石森巌)