社会

「陰謀論」こそ極上のエンタメだ!「都市伝説」を排除するぬるいテレビ番組が末期的につまらない件

 10月20日放送の「やりすぎ都市伝説」(テレビ東京系)は、末期的につまらなかった。以前は「今週『都市伝説』やるんだ」と楽しみにし、リアルタイム視聴していたが、最近は一応流しておくか、という程度に。

 それもこれも、最近のネタは「都市伝説」とは名ばかりの、単なる「豆知識」程度で、面白くもなんともないから。昔はサバンナ高橋茂雄の「空耳ネタ」でようやくひと息つく…くらいに怪しい空気感で満ちていたのに。

 番組の目玉、「Mr.都市伝説」こと関暁夫のコーナーも、それこそ当初は「20ドル札を飛行機の形に折ると、911・アメリカ同時多発テロ事件を示唆する絵柄が現れる」とか「スターバックスのロゴデザインにはフリーメーソンのマークが隠されている」などという「そんなアホな」と思いながらも「でも、もしかしたら」と考えてしまうような、よくできた話で楽しみだった。が、最近はSFやファンタジー小説のラフ案みたいなものや、怪しい新興宗教みたいな突拍子もない話が多すぎて、正直言って入り込めない。

 思うに、昨今の「陰謀論排除」の風潮のせいではないだろうか。2020年頃からFacebookやYouTubeといったSNSから「Qアノン」と呼ばれる極端な陰謀論の投稿を排除する動きが起こり、テレビでも陰謀論にまつわる思想や危険性に警鐘を鳴らす特集が組まれた。

 その煽りを受けて「やりすぎ都市伝説」では陰謀論めいたテーマが減り、ライトな小ネタや、逆に荒唐無稽すぎる話題でお茶を濁すようになったのだと思えてならない。こちらはただ、単なる芸人の話芸のひとつと思って楽しんでいただけなのだが。

 とはいえ、陰謀論を盲目的に信じてしまう人が一定数いることは確かだ。東日本震災後やコロナ禍で、嘘か本当か分からない出所不明の話がメールやLINEなどで出回っていた。「トイレットペーパーがなくなる」「米が買えなくなる」「ワクチンを接種してはいけない」などなど。

 人は危機的な状況下において正常な判断力が鈍り、たとえ突拍子もないデマであっても「原因はそこにある」と言われると、「原因」とされた対象を攻撃したり、差別を生んだりする。実際にそうして起きた痛ましい事件が、過去にいくつもある。

 ネガティブな物事や事象に対して明確な理由付けができない場合、誰でも不安や憤りを感じるものだ。「恋人と別れたのも、再就職できないのも全部、ロスチャイルド家のせいなんだ!」って思えば、なんの解決にもならないとしても、一応、腑に落ちたりする。本当は全て自分のせいであろうと、それを受け入れるよりは「陰謀のせい」と考えることで、自己否定に陥らずに済むからだ。

 正直な話、「陰謀論」は面白い。つまらない真実よりも、よくできた作り話の方が聞いていて楽しいし、ワクワクする。「陰謀論」こそ極上のエンタメだと思うのに、批判を恐れて無難なものしかやらないテレビが、あまりに情けない。

(堀江南)

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