ブンデスリーガ(ドイツ)のシュトゥットガルトに所属するDFチェイス・アンリが今季、大ブレイクの予感を漂わせている。
10月29日に行われたドイツ杯2回戦では、カイザースラウテルンと対戦。センターバックで先発出場すると2-1の勝利に貢献し、3回戦にコマを進めた。
チェイス・アンリの活躍に「待ってました!」と喜んでいる日本のサッカーファンは多いことだろう。アメリカ人の父と日本人の母を持ち、身長188センチの体格を生かしたディフェンスで尚志高校(福島県)時代に頭角を現すと、卒業後はJリーグクラブからのオファーを断り、ドイツに渡った。
「日本の宝」と呼ばれていたが、本格的にサッカーを始めたのは中学生になってから。サッカージャーナリストが語る。
「空中戦や1対1の対人守備は優れていましたが、足元の技術のつたなさと経験不足が露呈する場面が多かった。Jリーグのクラブに入団したとしても、ベテランDFとのポジション争いでは統率力で劣るため、同世代のシュトゥットガルトのセカンドチームで切磋琢磨する道を選びましたね」
20歳の若武者は今年7月、トップチームへの昇格が発表された。とはいえ、シュトゥットガルトは昨シーズンのリーグ戦で大躍進の2位に入った強豪。最年少のチェイス・アンリの出番は、なかなか訪れないと思われた。
「8月24日(現地時間)に行われた開幕戦となるフライブルク戦に途中出場すると、第2節のマインツ戦(8月31日)で早くも先発出場を果たしました。本職のセンターバックだけではなく、左右のサイドバックに起用されても柔軟に対応し、セバスティアン・ヘーネス監督から重宝されています」(前出・サッカージャーナリスト)
驚くのはそれだけではない。欧州クラブの頂点を決めるチャンピオンズ・リーグでも、前年度覇者のレアル・マドリード戦(9月17日)に途中出場。ブラジル代表のFWヴィニシウスとマッチアップし、食らいつく場面が見られた。
そんなチェイス・アンリに、2026年北中米ワールドカップに向けて、日本代表への定着のみならず、「大黒柱」としての待望論が浮上している。
「日本代表のセンターバックは冨安健洋(アーセナル)を中心にチーム作りが進められていましたが、ケガによる相次ぐ離脱で、先が読めない状況になっています。このままチェイス・アンリが試合に出場するようなら、ポジションを争う誰よりも、濃厚な経験値を積むことになる。世界のレベルを肌で知っているだけに、森保一監督が大抜擢しても不思議ではないでしょう」(前出・サッカージャーナリスト)
「日本の宝」が世界で才能を開花させ、頼もしい存在として日本代表に新風を吹き込むかもしれないのだ。
(海原牧人)