これは一家言ある鉄道ファンにとって、とても納得のいく結果ではなかった――。11月4日に放送された「秋に行きたい絶景駅総選挙」(テレビ朝日系)のランキングに対するものだ。
「絶景駅ではない、普通の駅ばっかりランクインしている」
「番組タイトルと内容が合ってない。これじゃタイトル詐欺だ」
などと叩かれまくっているのだから。
なぜこれほどまでに批判されているのか。鉄道ライターが理由を明らかにした。
「番組タイトルは『鉄道のプロ&旅好き1万人がガチ投票!秋に行きたい絶景駅総選挙』であり、こう聞けば多くの人が『ホームから絶景が見られる駅』のランキングだと思うことでしょう。ところが実際は『近くに絶景地がある駅』だったんです。そのためランキングは、鉄道ファンが予想もしないものとなりました」
ベスト25の中で「ホームから絶景が見られる駅」は、6位のトロッコ保津峡駅(嵯峨野観光鉄道)、9位の奥大井湖上駅(大井川鐵道)、16位の二ノ瀬駅(叡山電鉄)、17位の下灘駅(JR四国・予讃線/写真)、24位の姥捨駅(JR東日本・篠ノ井線)のわずか5つだけ。他はどれも「絶景地の最寄り駅」だったのだ。
7位の岐阜駅(JR東海東海道本線)の絶景として紹介されたのは、岐阜駅から徒歩で約1時間半もかかる岐阜城。その岐阜城を2キロ離れた地点から望遠レンズを使って撮影すると、大きな月をバックにした写真が撮れるというのである。もはや駅とは全く関係のない絶景だった。
そして鉄道ファンがどうにも納得できないのが、1位に選ばれた日光駅(JR東日本・日光線、東武鉄道・日光線)だ。前出の鉄道ライターも、この結果には憤慨するしかなかった。
「日光駅の絶景として選ばれたのはまず、華厳の滝。日光駅からバスで約40分もかかります。次が竜頭の滝で、こちらは日光駅からバスで約1時間。最後が中禅寺湖で、これもバスで約50分かかる。最寄り駅ではあるのですが、そんなに遠い所にある絶景を挙げられても困りますね。『ホームから絶景が見られる駅』だけでは、ベスト25もないと思ってこうしたのかもしれませんが、ガチでホームから絶景が見られる駅はいくつもあります。鉄道の底力をナメないでほしいですね」
タイトルが「秋に行きたい絶景地の最寄り駅総選挙」であれば、なんら問題はなかったのだが、なぜ「絶景駅総選挙」としたのか。次は「ホームから絶景が見られる駅総選挙」を放送して、鉄道ファンを納得させてみてはどうか。
(海野久泰)